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斎藤、原田、藤堂は、強かった。

藤堂はその瞬発力の高さで次々と敵を負傷させていく。小柄なせいかより俊敏に見え、卒のない剣術に相手は唸る。
原田の得物は槍だ。腕の長さもあり、辺り一面の敵はなぎ倒され、また相手を近づけなかった。
斎藤は、何よりも居合いに優れているらしい。素早い刀捌きは視界に捉えることが難しく、周囲を翻弄した。

…だがそれでも。圧倒的な人数に、彼らは押されていた。

破落戸共も、決して弱くはないのだ。口ばかり達者で、集団でしか行動できない奴らかと思いきや、個々の戦闘力は高い。いくら三人の方が強いといっても、この人数で持久戦に持ち込まれたらひとたまりもない。


その時、凛とした言葉が響く。


「斎藤、右よ」


斎藤は、はっとして右側から迫る男を弾き飛ばす。
千夜の声だった。三人に守られ背後で佇んでいた彼女は、冷静に指示を出していく。


「原田、左に払いなさい」

「ッ、おう!」

「後ろが疎かよ、藤堂」

「ああ、わかったよ!」


その指示はあまりにも的確だった。もちろん、打ち合わせはしていない。だが千夜の見極めが正確だと、すぐ判断を下した三人はその声に従う。その功績か、徐々に優勢は三人へ傾いていった。

頭の男は、それに気付いた。焦ったように声を張り上げる。


「女だ!女をやれ!!多少傷つけても構わねぇ!!!」






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