いわゆる、転生というやつであった。
彼らは自分ではない自分の記憶を持って生まれた。最初はその記憶がなんだか分からなかったが、成長するにつれ理解するようになった。

そして、ついに再会を果たしたのである。
この平成の世で、再び仲間たちと。


「てなわけで、新選組の再結成を祝して!乾杯ーー!!!」


新八の掛け声に合わせて、各々グラスを掲げてカチンと合わせる。わぁぁと歓声を上げるそこにいる全員、笑顔を浮かべていた。
年齢も性別もバラバラ、この大所帯を何も知らない他人はどう思うのだろうか。しかし、訝しがる人はここには居ない。本日は小さな居酒屋を、貸切なのである。


「おいおい、私たちは今は新選組じゃねぇよ。幕末はもう終わってんだ」


グラスを傾けながら、土方が新八の言葉に苦笑する。前世と今世、例え記憶を共有していようと別人だ。今世の自分たちが前世に引きずられるのは世の理に反することだ。――そう主張して、この集いを最後まで渋ったのは土方である。一方新八は、その土方を泣き落として肯かせた今回の幹事。
近藤は、優しく笑んだ。


「そうだな。トシ、確かに俺たちはもう新選組ではない。だが新選組の絆は不滅だ。そうだろう」

「・・・ああ」


近藤につられて土方も頬を緩めた。
それにしても、不思議なこと。同じ記憶を持って生まれ変わり彼らはこうして再会を果たしたのだ。
魂は同じであっても、そっくりあの頃のままとはいかない。便宜上昔の名前で呼び合ってはいるが、皆既に新しい名、顔、人生でこの世を生きていた。


「ちょっと。新選組だけじゃないの、忘れないで頂戴」


向かい側の席から少女が口を尖らせる。セーラー服に身を包んだ彼女は、千姫である。その隣にはスーツ姿の君菊さん。そして千鶴。


「でも本当、可笑しいよな。俺たちだけじゃなくて、鬼の連中も皆生まれ変わってんだもん。今世は人間だけど」


平助の言葉を、山南が肯定する。


「ええ、初めて気づいた時は驚きました。鬼の方々は少々不満なようでしたがね」

「土方さんなんて、風間のやつにずーっとライバル視されてやんの。見ててかなり笑えたぜ」


原田が平助の横から、話に加わる。土方は、それを聞いて顔をしかめた。


「・・・腐れ縁だ。言うな」

「土方さんは小中高大と、全部風間さんと一緒だったんですよね。まさか同い年だなんて」

「だよなぁ。しかも高校は、俺と新八も一緒だったからな。もうちょい早く千鶴と再会できれば、土方さんもここまでスれなかっただろうに」

「余計なお世話だ」


そういう原田は、不知火と幼馴染だという。文句を言い合いながらも二人はよく気が合い、今世ではすっかりいい相棒なのであった。






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