若紫鬼

明治の女鬼と風間家頭首


はじめに/番外編

世界からの離脱
名を呼ぶのは誰人や
ご容赦有れ
お噂は兼々訊いておりますので
虚弱な心膜
濁声の残響に眠る
秩序も在った頃の話
退路は無い
お目通し願おうか
また随分と不揃いなものだ
或は独白の誰ぞと
黄昏を迎えに
よしなに
あまつさえ失う声
蓬けた記憶
無縁だとばかり
待ちわびた回帰
余し駒
呵責のつぐない
解せん
君を想うからこそ
これより後へはもう引けぬ
余興は終いだ
最早痛みすらも解らぬ
痛くて、辛くて、嬉しくて
何と面倒な
ほんの少しの虚しさを残して
終わりはもう、すぐそこにまで
君に溺れさせて
若紫鬼

麗らかに、春
緩やかに温もりを抱く
紅指し指で一掬い
紡いだ言葉の卑しさよ
真に醜き有様よ
理想との差に藻掻く
花は褪せども空は蒼し
焼け爛れた劣情と一緒に
私に散れと申すのか
原罪との決別
あなたとのこれから

明治ノ鬼

後書き


090307~120312

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