1 金の紐に、青と紫の玉が合わせて三つ、編み込むような形で着けられている。なんだか複雑そうな編み方で、九段くんがあの小さな手で編んだのかと思うと、関心してしまう。 九段くんから贈られたブレスレットはとてもお洒落で、すっかりお気に入りになってしまった。とはいえ、仕事中に着けているのはよくないのではと思い、一回外そうとしたのだけれども何故だか自分では外すことができず。そういえば九段くんは「いつでも着けておくのだぞ」と言っていた気がする。 結局、腕の奥の方にずらせば袖で隠れてしまうし、ミサンガ的なものだと思ってそのまま、ずっと着けっぱなしになっている。 いつもは、着けていることを忘れすらする。でも時折、それは何かを訴えるように私の目に飛び込んできた。ブレスレッドの青い玉を見つめていると、なんだかだんだん、心が落ち着く気がした。 また、あの夢を見た。赤い夢を。 依然として目覚めた後は何もわからなくなる。ただ瞼に、赤だけが焼き付いた。変わったことといえば、起きた後にどこか、苦しい気持ちを伴うようになったくらいである。 「ここ数ヶ月で、頻繁にはなった、かなぁ…」 特にこの頃は、立て続きだった。 何かにせき立てられるような、そんな気持ちにさせるあの夢は、決して気持ちの良いものではない。季節はだんだんと冬に傾いていく。寒いから寝付きが悪いのだろうか。 (そういえば、千代お嬢様も最近朝は寒そうにしているから、今晩は毛布を出した方がいいかも) ぼんやりとした頭で、考えながらブレスレッドを見つめる。 相変わらず、その青を見るとすっと心が穏やかになる気がした。 |