4 辿り着いた先は、雨の降りしきる学校である。久々に降り立ったアスファルト。私が最後にここを後にしてから、どれくらい経つのだろう。記憶の中の姿から全く変わることなく、この世界は存在していた。 だが懐かしさに心を打たれている場合ではない。望美ちゃんの指示の下、私たちは荼枳尼天 を追う。向かった先は、鶴ヶ岡八幡宮だ。 「ふふふっ、素晴らしいわ、この世界は力に満ち溢れている!」 大階段の前。舞殿の傍らに、それは居た。 「この世界を喰らい尽くして、私はさらに強大になる!」 その姿に、私はなんだかぞっと背筋が震えた。神とは――このようなものなのか。白龍の清らかな雰囲気とは異なる、大きな力の固まり。禍々しく、そして人智を越えた…神々しさ。 それの目的は、発言から明らかだ。あれは魂を喰う。そうして力を手に入れるのだ。この世界が、あれの餌食になろうとしている。見過ごせるわけがない。 「そうはさせないわ!」 「あの世界を守ったように、この世界も私たちが、守る!」 すかさず声を上げた望美ちゃんと朔ちゃん。荼枳尼天は、スッと視線を二人の神子へ向けた。 「龍神の神子たち…そう、あなたたちも来たの」 その表情はよくわからない。でも、笑っているように感じた。政子さんだった頃を彷彿とさせる、優美で冷え冷えとする高笑いで。 「かわいそうな子。おとなしくしていれば見逃してあげたのに。残念ね…死になさい!」 吠えた荼枳尼天を、神子と八葉たちが囲う。 始まったのは、名実共に、最終決戦と呼ぶにふさわしいものだった。 |