1 平家と和平が結ばれると言う話を聞いたのは、熊野から戻ってきてすぐのことだった。 和議は平家の本拠地・福原で行われるという。私たちはすぐ福原へ向かうよう、指示を受けたのだが…。 「あかり、いいかな」 深刻な望美ちゃんは、和議の話を聞いた直後に私を呼びとめた。彼女は私の手を握る。そして、決意を秘めた声色で言った。 「このまま福原に、行ってはだめなの。本当に和議は、成功させなきゃいけない」 私は彼女の態度に、悟った。いよいよその時がきたのだと。 「変えなくちゃ――運命を」 それは、終わりの始まり。 いつまでも終わらないこの戦いを、終えるための最後の戦いが、この時始まったのだ。 |