…瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の





奇妙な夢を見た。濁流に、飲まれる夢。勢いよく流れるその中を、抗えないながらも必死に手を伸ばす。誰かを探すように。傍を同じように流されているだろう、彼女の手を掴まなければと思った。遠ざかる意識。それでも、頑張って伸ばした先で、ぐっと手が掴まれる。
感じる温もり。はっと目を上げると、彼女がじっと私を見て言った。




――お願い、弁慶さんを助けて!




…どうして、それを私に言うの?
…誰かを救うことができるのは、八葉に関わることができるのは、貴女じゃないの?

湧き上がる疑問。しかしそれを問う前に、身体はどんどん重くなる。瞼が閉じていき、彼女の温もりは遠ざかって――そして…





「あかり!」





鋭く響いた呼び声に、私は目覚めを促されたのだった。







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