とはいえ、望美ちゃんが苦しむ原因を作ったのもまた私。
私は弁慶さんと心中した後、望美ちゃんが何度頑張っても死ぬ運命にあり続けたらしい。遂には私はこの世界から消えたとか。その一連が、ここまで望美ちゃんを追い詰めたのだ。

(馬鹿だなぁ…私)

結局、望美ちゃんにはかなわない。
彼女には、弁慶さんのことで勝手に嫉妬したり、弁慶さんを優先して源氏を捨てたり、望美ちゃんのことを考えずに勝手に心中したり…沢山迷惑をかけた。
それなのに、そんな私を、彼女は助けたいと思ってくれた。身体を張って、こんなにもぼろぼろになって。


「望美ちゃん、ごめんね。…ううん、ありがとう」


言葉にすると同時に、不思議な感覚が全身に走った。――ようやく、言えた。そんな妙な感覚が。
望美ちゃんは険しい顔で私を見つめ、宣言するように声を上げる。


「今度こそ私、あかりと弁慶さんを助けてみせるから…!」


けれども私は、首を横に振った。


「ううん、望美ちゃんに守られるわけには、いかないよ」


それでは、いけない。それでは、何も変わらない。それは、望美ちゃんにも気付いてもらわなければならないこと。


「私は、私の力で弁慶さんを振り向かせる。私の力で、自分の命を守る。望美ちゃんだけに、押しつけていいものじゃないから。やっとそれに、気付けたから」


望美ちゃんは私の言葉に、不安そうな瞳をした。彼女の眼は「私はあかりの役に立てないの」と、雄弁に語る。だがそうではないのだ。それを伝えるように、私は精一杯望美ちゃんに微笑みかけた。


「だからね。一緒に、頑張ろう。これからは一緒に、未来へ進もう」


私がそう言うと、彼女はようやく表情を緩ませ、ようやくいつものように美しい笑顔を浮かべたのだった。


140313



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