1 春日望美の話をしよう。 望美は異世界へと誘われ、白龍の神子として戦いの道へ足を踏み込んだ。あまりに急なことであったし、勿論戸惑いもあった。しかし、共にやってきた友人やそこでであった大切な仲間の為に、彼女は自ら剣を手にした。 慣れない土地での、慣れない戦い。当然、悩み苦しむことも多かった。だが望美は持ち前の明るさと前向きさ、向上心で戦いを勝ち進んでいった。 その中で、恋もした。心から尊敬し、愛おしく思える人に出会った。 緊迫した毎日だったが、充実していた。このまま目的を達成し、皆が望む結末を迎えられるのではないかと、本気で信じていたのだ。 ただし彼女の運命は、そう甘くはなく。 どこまでも過酷なもので。 この世界にやってきてから、およそ一年。戦いは佳境に入り、途中から、ドミノ倒しのように悪いことが続いた。それまでの優勢が嘘のように、源氏軍は追い詰められていった。 そして彼女の仲間たちは、戦いの最中に皆、命を落とす結末に終わったのである。 |