正直な話、二人が結ばれたからといって、その後生き延びるとは限らないのだ。もしかしたら、二人はそもそも長くは生きられない運命にあるのかもしれない。もし上手くいっても、近いうちに死ぬ運命は避けられないのかもしれない。

それは、わかっている。

それでもあかりと弁慶の幸せを望んでしまうのは、あの姿を見せつけられてしまったから。あんあに悲しい――それなのに美しい、完璧な愛を、最期を、忘れることができないのだ。

だから望美は諦めない。道を、探し続ける。




「あかり、弁慶さんといて何も思わないの?あんなにも素敵な人なのに?」

「尊敬は、しているけれど…。私に釣り合うような人では、ないから…」


弁慶に恋慕を抱かないあかり。
あかりに心を開かない弁慶。

お互い、あと少しのところでギリギリの均衡を保っている。まるで、愛し合うことを避けているかのように。
それが悲しくて、見ていられなかった。


「もしかして望美ちゃん、弁慶さんのこと、好き?」

「――まさか、それはないよ」

「そう?弁慶さんは望美ちゃんが言うように素敵な人だし、もしそうなら何か協力できると思ったのにな。あ、でも九郎さんや景時さんも素敵だけれども」


にこにこと、悪気などなく笑うあかりに、胸が痛む。

(私が弁慶さんを好きでは意味がない、貴方が弁慶さんを好きだった筈でしょう)

矛先を失った感情が燻り、望美は曖昧に笑った。



140110




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