3 始めは全くその法則を、知ることはなかった。それは望美が、自分にとって良い結果で終わっても「二人が結ばれていないのは認められない」と、すぐに運命をやり直していたからである。 けれど何周かして、ふと思いついた。 もしかして、この後に二人は結ばれるのではないか。全て戦いが終わった世界で二人は結ばれ、共に幸せになれるのではないかと。 だから二人が結ばれなかった世界で、望美はそれまでとは違い、時空を戻ることなくあかりと弁慶を見守ろうとした。 だが、そう決めた直後。 あかりは平家の残党に背後から刺され、唐突に命を落とした。 同じようなことが続いた。 次の時空では、あかりへの襲撃を防ごうと注意した。無事に、残党の攻撃を跳ねのけた。…だけれど、今度は気付いたら弁慶がひとり、死んでいた。自害だった。 更に次では、弁慶に忍び寄った残党の攻撃をあかりが庇って倒れた。助かることはなかった。 またその次では、その逆。 その次も、更に次も、何度も何度も繰り返した。 (ただ、二人に幸せになってほしいだけなのに) だが二人はどうしても、どちらか片方しか生き延びられない。結ばれるかどうかどころの話ではない。 まるで呪いだとでもいうように、二人は、幸せから遠ざかっていた。 |