今度こそ、待ち望んだ運命かもしれない。その可能性はゼロではない。けれど経験上、望美はこの先の展開が読めてきている。
恐らく、今度の時空においてもあかりと弁慶が親密な関係になることはない。次も、その次の時空でもきっと。

上手くいかないのは、いつもここである。
あれ以来――あのあかりの最期を見届けて以来、望美が辿るどの運命でもあかりは、弁慶と運命を共にするどころか恋仲にすらならない。何度巡っても、それだけは変化がなかった。

始めは上手くいくと思った。
やり直した春の京における弁慶は、あかりにとても優しかったのだ。望美や朔、他の女性にするようにあかりにも接していた。一週目のような辛辣な態度は、なかった。

けれども…否、だからこそあかりと弁慶はそれ以上の関係関係になることはなかったのだ。そう気付くまでさほど時間はかからなかった。でも気付いたところで、どうしようもない。本人たちにその気がないのに、望美には二人の仲をどうすることもできなかった。

だから、望美は何度もやりなおした。あかりと弁慶が、前のような関係になる道を目指した。過程で、色々なエンディングがあった。望美自身、色々な人と運命を共にした。

その中で次第に、思うようになった。「もしかして、あかりと弁慶が結ばれるあの運命の方が、数多の奇跡が起こった結果――本来あり得なかった運命だったのではないのか」と。
本来はあり得なかった運命だったから、あの悲惨な結末に至った。二人の関係は、間違った運命の中にしかないものだった。…ならば無理に、二人が共に生きる道を探しても意味はないのではないか。自然な運命に身を任せ、二人それぞれ別々の幸せの道があるのならば、それに従う方が良いのではないか。
だけれど、すぐにその推測は成り立たないと知る・


(結局、あの二人は結ばれなくちゃいけないと、私は知ってしまった)

ある法則に望美は気付いていたのだ。
弁慶とあかり。結ばれないまま終わる二人は必ず、全てが終わった後にどちらかが命を断つという、まるで救いの無い法則に。





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