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いわゆる「ボンゴレ狩り」が始まったのはつい最近のことである。
日本支部メローネ基地はボンゴレ十代目の出身地、並盛にあるため、イタリア本国に引けを取らない程、このボンゴレ狩りの主力となっていた。
そう話には聞いていたものの、所詮はマフィアの抗争。裏社会での紛争。だからここまで目に見えて、並盛が疲弊しているだなんて誰が想像しただろう。街のあらゆるところにミルフィオーレの手の者がうろうろしている。一般人には手を出さないのがイタリアンマフィアの暗黙の了解であるのならば、ミルフィオーレは型破りもいいところだ。


「本当にピリピリしてるなあ…」


車の窓枠に肘をつき、ぼやいたのは若い女である。
屈強な体つきを黒スーツに収めた男が運転する、黒塗りの車。その一行はいかにも、といったものものしさを放っているのだが、彼らに連れられた女だけがそこで浮いている。彼女は日本人だった。そして、どう見ても一般人にしか見えない。


「そろそろ到着いたします」

「了解です。司令官に面会を取り付けてくれます?」

「かしこまりました」


――久々の基地である。
そう思うと、再会の喜びに女の頬が緩んだ。







同時刻、メローネ基地内。


「白蘭さんからの通信がない?」


部下からの報告に目を剥いたのは、司令官の入江正一だった。ミルフィオーレのボスである白蘭から、定期的に連絡が来るはずである。が、今回は突然中心だと言いだした。


「いえ、あの…それに関しては使者を出しているからと」

「使者?誰かイタリアからやってくるのか?」


尚も問いただそうとした矢先、別の部下が慌てたように指令室へ駆け込んできた。


「入江様。面会の要請が来ています」

「使者か」

「そのようですが…その、ブラックスペルの者でして」


指令室はホワイトスペルの手のもので占められている。特にブラックスペルが立ち入り禁止というわけではないが、できるだけ入れたくないというのが本心だ。とはいえ、使者だったら通さないわけにいかない。入江が指示しようとしたその時、突然指令室の扉が開く。


「おい君!勝手に入るな、どこの隊だ!」

「ちょっと、私急いでるんだからさっさと正ちゃんに合わせて…あ、」

無理に突破してきたらしい、若い女が白い制服の男に取り押さえられそうになっていた。彼女は入江を見ると、にっこりと笑った。


「…おい、彼女を離せ。その子が誰だか知らないのか」

「は…?」

「私は、うちの天才メカニックの助手です。よく顔を覚えていてくださいね。私は兎も角、彼に無礼を働いたら許しませんよ」


入江の声に男の力が緩む。その隙を狙って男の腕を振り切った女は、よれたスカートをはたくと改めて、入江に向き直る。


「やっと、帰ってきたんだな」


使者というから誰かと思った。呟くと、彼女は元気よく敬礼した。




「ブラックスペルC級、助手子。今日から日本支部に復帰致します!」



それは、ボンゴレとの正面対決が始まる僅か数週間前のこと。





***

こんにちは。お久しぶり、でもありませんね。
とりあえず、以上のような感じです。ここまで読んでいただければなんとなくわかるかなあと思うのですが、「世界」連載はしつこく新シリーズに突入します。折角完結まで来たのになんだかすいません。
次は念願の!未来編原作沿いです!!
といっても、「微」原作沿いになると思われます。一応「世界」本編は50話で完結したので、次の連載はあくまでその後、原作の補完となります。更新率も下がり、なんとなくゆるゆる進める予定です。詳しくは新連載ページを作った時、お知らせしますね。

しつこく続く「世界」連載。よろしければまた、お付き合い下さいませ。

110422




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