肌寒い敦盛さん


肌寒い日が続いた。
京の冬は底冷えして、あの夏の暑さが早くも懐かしく感じられる。まだ火鉢を焚くには早いが、今までの感覚でいるには寒い。少しでも暖を求めてしまうのは、まぁ仕方のないことだと思うのだ。


「え、あの…」

「ごめんなさい、敦盛さん。少し、寒いんです」


縁側に敦盛さんが居たのを目ざとく見つけて、私は彼の隣りを素早く陣取った。今日は九郎さんたちは堀川屋敷、朔ちゃんと譲くんは買い出し、望美ちゃんとリズ先生は修行と皆上手いこと出払っている。そう、チャンスである。


「寒いから、ひとりで居るより敦盛さんと居れたらあったかいな〜と思って…迷惑、ですか?」


言いながらも、ぎゅぎゅっと彼との距離を詰める。敦盛さんは私を見てあわあわと、狼狽えた。
そんなところも可愛らしい、なんて思ってしまう。私は敦盛さんにラブずっきゅんなのだ。本当は、ぎゅっと抱きついたいところだけれど、流石にそれは逃げられてしまうだろう。

敦盛さんは散々狼狽え、焦り、視線をうろうろさせた後に、消え入るような声で呟いた。


「迷惑ではないが…わ…私はその、体温がほとんど…」

「そんなのは、関係ないんです」


彼は元平家で八葉で色々な事情から普通の人とは言えない状況で、なるべく私たちとも距離を取ろうとしている。それはわかっている。

それでも私は、そんなことは関係なしに彼の聡明なところとか、芯の強いところとか、優しいところとか…全部ひっくるめて敦盛さんがすきなのだ。これは、他の誰に言われても譲れないことなのだ。


「敦盛さんと居ると、心がとっても暖かくなるんだから」


覗き込んだ敦盛さんの頬は真っ赤で。体温、ないって言ったくせにとても熱そうで。
熱にうかされたように私をじっと見た彼の視線で、また私の体温は上昇する。



131020〜
敦盛さんに寄り添いたい。



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