編成


ジャイロルーレットで決定されたのは、バトル参加者。属性マークの横に表示された人数に、皆が釘付けになる。
各属性で参加人数が違うどころか、両チームの参加人数も異なる。これこそがチョイスの醍醐味だと、白蘭さんは笑った。
それよりも、と気になったのはどの属性でもないマークのもの。


「…まさか」


いち早くそれに勘付いたのは、メカだった。さっと顔色を悪くしたメカに、白蘭さんは肯定するかのように微笑し、言葉を引き継ぐ。


「そう。君、良い勘してるね。それは無属性。つまり、リングを持たぬ物を示しているんだ」


ぐるりと、白蘭さんが視線を巡らせる。彼の眺めた先には、私たちが居た。スパナや私、ジャンニーニさんやメカの技術者たち。フゥ太や京子ちゃん、ハルちゃんなど、いわゆる非戦闘員と呼ばれる者たちである。


「君たちは2だから、二名を選出しなくちゃならない」


一同の背筋が、凍る。
当然のように闘うのは守護者、せめてリングを持つ者だと思っていた。サポートは全力でするつもりで居たが、まさか戦場に駆り出されることもありうるとは思ってもみなかったのだ。
まだ自分の意志でマフィアに属する者はいい。問題は、京子ちゃんやハルちゃんだ。二人は完全に巻き込まれただけにすぎない。

チョイスを熟知する正ちゃんは、厳しい顔ながらも白蘭さんの言葉を正統なものと判断したらしい。彼は、自分が既にリングを持ってないことを理由に無属性枠であることを確認すると、言い放った。


「だったら綱吉君、僕らのメンバーは決まりだよ」


大空の綱吉くん。嵐の獄寺くん。雨の山本くん。言葉と共に順に目を向け、最後にとこちらを向いた。


「無属性は、僕とスパナが適任だ」


それは、ベストなメンバーであるように思えた。皆戦闘経験もある。覚悟も決めている。――しかし一人、そこで待ったを掛けた人物がいた。


「ちょっと待ってください、入江先輩」


響いた声に、はっと目を向ける。あろうことかそれは、弟のメカである。何を思ったのかメカは、真剣な顔で正ちゃんに詰めよった。


「俺も無属性です。俺だって、スパナには劣らない技術がある。それに、実践の場数だったら俺の方がきっと上だ。俺も、編成に入れてください」


私は思わず、隣のスパナを見上げる。
スパナは、読めない表情でメカと正ちゃんを眺めていた。


141207



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