子供だって笑うかい?


「え?ボイコット?」


湧いて出たようなその単語に、私は思わずきょとんとしてしまう。しかし精一杯、手作りしたらしいプラカード(秘密反対!情報の開示を!…などと書かれている)を振りかざす少女たち、迫られたじろぐ少年たちの様子は真剣だ。
雰囲気にのまれつつ、チラリとビアンキさんに視線を送ると、仕方ないという風に彼女は笑った。
ハルちゃん京子ちゃんは私が来たことに気付くと、繰り返すように声を張り上げた。


「ツナさん達が真実を話してくれるまで、ハル達は家事をしませんし」

「共同生活をボイコットします!!」


…話によると。過去からやってきたばかりのハルちゃんと京子ちゃんは、マフィアに一切関係していないらしい。更に、彼女たちを戦いに巻き込みたくない男の子たちの意向で、この世界が彼女たちにとっての十年後であるということ以外の情報を伏せていたそうだ。
だが二人は、納得していなかった。そして、ひとまずの戦いを終えた今、真実が知りたいのだと、渋る男の子たちを相手にストライキを起こしたのである。


「あれ、フゥ太くんやメカは女の子側にいるんだ」

「うん、僕たちは情報開示に反対じゃないし」

「オレたちが向こうに居ても意味ねーからな」


要するに、分は女子サイドにあるらしい。確かに、この先も全てを隠したままにするというのは現実的ではない。彼女たちも当事者のひとりだ。二人がそれを求めるのなら、それを阻害する権利はない。

けれども、綱吉くんたちは断固として反対なようで。できる限り、この世界には関わるべきではない、関わらせたくない――その気持ちはわかるけれど。
こればかりは、双方の話し合いに任せるしかないだろう。


「そういえばビアンキさん。メカの姉代わりをしてくれていたと聞きました。改めて、いつもお世話になっています」

「あら、丁寧にありがとう。でも大したことはしてないのよ。私も、弟の面倒を見るついでだから」


メカは獄寺さんを兄貴として慕っていたらしいと聞いている。その獄寺さんの姉ビアンキさんは、第二の姉として色々尽くしてくれたとか。
ここ数年は互いにマフィアであることを隠していたこともあり、姉らしいこともしていなかった。だから、代わりに色々してくれた皆さんには感謝し尽くせない思いだ。


「獄寺さんにも本当はお礼を言いたいけれど、十年前の彼に言うのはおかしいかな」

「いくつになっても、あの子に兄貴が務まるとは思わないけれどね。気持ちだけは私が受け取っておくわ」


その会話を聞いていた弟は、嫌そうに顔を顰めている。


「ちょっと…やめろよ姉貴。もしかしてそれ、オレに関わってたやつら皆に言うつもりか!?」

「いけない?フゥ太くんに色々教えてもらったから、一通り誰に挨拶するかは決めたんだけど。特にヴァリアーの皆さんとかチェデフの皆さんとか」

「お前、姉貴に何を話してんだよ!!?」


フゥ太は喚く弟には取り合わず、それよりも、と私に尋ねた。


「助手子さんはボイコットのこと、心配しないの?」

「あー…うん。きっと、大丈夫だと思うからね」


答えつつ、苦笑い。京子ちゃんもハルちゃんも、自分のときよりは派手には反抗しないだろうな…なんて、昔を思い出して一人恥ずかしくなったのだった。



140127



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