そうだね、そうさ、


ボンゴレのアジトはメローネ基地と同様、並盛町の地下に作られていた。情報として知ってはいたものの、入口のカモフラージュや内部の施設については驚きの連続だ。
私の知っているマフィアは、ミルフィオーレだけ。その拠点の多くはメローネ基地を代表するように、多くの戦闘員を収容し、時には基地自体が敵への攻撃に対応できるようになっていたと思う。


「ボンゴレのアジトは、マフィアの基地というようりも、ファミリーの家みたい」


アジトを案内してもらい、得た感想はそれだ。今ここに居るのが本来はまだ正式なマフィアではない、10代目ファミリーということもあるのかもしれない。基地としての機能を備えつつ、共同生活に適した温かな雰囲気の内部。医療施設が充実しているせいか、敵対相手を攻撃するのではなく味方を守る方向に特化しているように感じる。


「そうだろ。俺とジャンニーニが手掛けたんだ、すごいだろ」

「そのジャンニーニさんは、今いないの?」

「スパナや入江先輩に対抗したいらしく、すげー装置作るって意気込んでる」

「メカも他人ごとじゃないだろう、仕事しなよ。本当にシスコンだよね」


フゥ太くんの辛辣な言葉に、弟は顔をしかめた。私はこの二人に一通りの案内を受けているのである。ちゃんと私の部屋も用意してくれていて、仲間になったばかりの身としては有難いやら申し訳ないやら、改めて身が引き締められる思いだ。


「今、皆さんはどうしてるのかな」

「ボスたちは、修行スペースだよ。大人たちもそれを手伝ったり、情報収集に走ったりそれぞれ奔走している。夕食になれば、会えると思うよ」


クロームちゃんは修行の休憩の間を縫って私を迎えにきてくれていたらしく、アジトにつくなりすぐにビアンキさんやイーピンちゃんと修行場へ向かってしまった。
京子ちゃんとハルちゃんも家事があるとかで、この場にはいない。


「なんだか改めて、知った顔が多いなぁ…」


しみじみと呟けば、二人も苦笑する。
京子ちゃん、ハルちゃん、バジルくんにフゥ太くん。なんとなく昔から、弟の知り合いとして認知していた顔ばかり。皆、マフィアだっただなんて驚きを通り越して呆れてしまう。


「フゥ太くんも、昔っからのマフィアなんだよね」


中でも、一番のびっくりはここだ。他の子たちは兎も角、フゥ太くんとの関わりは家族同然だったのだ。


「そうなんだ。元々僕は、マフィア関係でツナ兄にお世話になるようになったからね」

「なんか事情がありそうだとは思っていたけど、まさかだよ」

「オレだって知ったのは、高校入るあたりだったからな」

「本当はメカにだってバレるつもり、なかったんだけどなぁ」


フゥ太くんの正体には驚いたけれど、それでもやはりフゥ太くんはフゥ太くんだった。
ボンゴレは、噂以上に型破りで仲間思いなファミリーなのだろう。



140117



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