何のことだか分からないね


ごく自然に話に加わったフゥ太は、薄く笑みを浮かべたままスパナを見やる。それからメカの隣りへたち、我が物顔で話を進めた。


「スパナが良い人だっていうのは、わかる。でも問題は助手子さんを幸せにできるかでしょ。それが分かるまでは許可できない・・・だよね、メカ」

「まぁ・・・そうだけど。なんでお前が仕切ってんだよ」

「は?メカがだらしないからじゃないか。感謝しなよ」


フゥ太のメカへの言いようはあんまりだったが、いつものことなのかメカはちょっと顔を顰めただけである。
しかし綱吉も、フゥ太の無理な介入を疑問に思っていたところである。親友の姉だとしても、普通こんな口出しはしないのではないか。そんな綱吉の視線に気づいたのか、照れたように彼は付け加えた。


「ツナ兄、僕は助手子さんの危機に黙ってはいられないんだよ。メカの親友として、助手子さんを良く知る男として、ね」

「助手子を良く知る、男」

「そうだ。僕は助手子さんと幼い頃から親しい仲なのさ。で、どうなの?本当に幸せにできるの?」


助手子を良く知る、という部分に反応したスパナに対して、フゥ太は容赦なく切り捨てる。まるで牽制しているみたいだ。

(あ・・・まるで、じゃなくて牽制しているのか・・・?)

こんな時に、綱吉の超直感は上手く作用する。瞬時に、フゥ太の微妙な心境を読み取ったのである。


「必ず、幸せにするよ。それは誓う」

「ふぅん・・・まあ口ではなんとでも言えるよね」

「おいフゥ太、お前なんかめちゃくちゃ口うるさい姑みたいだぞ」

「仕方ないじゃない。そのくらいしないと気が済まないし、メカはこんなだし」

「はぁ?!」


フゥ太はメカと幼馴染であり、助手子とも昔からの仲なのだ。姉のようとまではいわなくても、身近な、しかもマフィアとは関係のない女性だったのだ。多分綱吉にとっての京子のような、彼にとっての平和の象徴だった。
だから彼女が突然、降って湧いたような男に横取りされた気分なのだろう。


「とにかく!僕とメカの許可が出るまで助手子さんは渡せません!」


言い放ったフゥ太の目は本気だ。未だにきょとんとする助手子、メカはフゥ太の本心に気づくことはないのだろう。これは暫くこじれるぞ、と綱吉は恐る恐るスパナに問う。


「なぁスパナ・・・許可、降りなかったらどうするつもり・・・?」


さっきから静かなスパナは、フゥ太の剣幕に萎縮していたりして。
しかしその予想は見事に裏切られる。


「当然、堂々と奪い取るだけだ。もう助手子の心も身体も、実質的にはウチのもの、だからな」

「スパナ・・・言うね・・・」

「くそぉおお!俺はまだ認めないからなあああ!!」


涼しい顔で答えたスパナに、フゥ太とメカは目をギラつかせる。メローネ基地跡地には、ボンゴレの男たちの悲しい悪足掻きが響き渡るのであった。


130729



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