両手に花束


深夜零時、扉の前に立った。

ゆっくり息を吐いて意識を集中させる。
服は今日卸したばかりの深紅のワンピース。靴だってよそ行きの新しいもの。髪は何時もより念入りに解かしたし、お化粧だって鏡で十回位はチェックした。
あとは、少しの勇気だけ。

もう一度長く息を吐くと、わたしは口元を少し綻ばせた笑みをつくる。…彼が好きだというから、何度も練習したのだ。

両手に抱えた真っ赤な薔薇の花束を抱えなおして、わたしはいよいよ扉を叩いた。


どうぞ、


その言葉を合図に、わたしは扉を開けて、微笑んだ。





「スペルビさん、おめでとうございます」




両手に花束、あなたに贈り物を





案の定、彼は驚いたような顔をした。




080313
03/13 happy birthday s・スクアーロ !



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