過保護 すぐ下に双子の妹がいるから、同い年の、世話のやける幼なじみの扱いには困らなかった。 まったく、幼稚園の頃からぐずる幼なじみと妹たちに世話をやいていたと言うのだから、自分で言うのはなんだか、面倒見は相当良いと思う。 俺が野球に時間を費やすようになり、妹たちもおおきくなり、次第にその面倒見の良さは野球部の仲間たちへと向けられた。 お陰で今、キャプテンの座を収めるに至る。 「はないーっ!はない早くーっ!早く来てー!!」 「花井ってさ、良すぎる程面倒見いいよね」 BGMのように聞こえてくる声を見事に無視して、泉が呟いた。 「良すぎるってなんだよ」 「いやぁ、なかなか花井みたいに人に尽くすとか、できねーよ。な、阿部」 「まーな。俺はお前を尊敬する(色々な意味で)」 「妹たちで慣れてるだけだって!」 「母親とも仲良いしな」 「料理も出来そうだし」 「結婚したら幸せにしてくれそーだよなぁ」 便乗してあれこれ言い出す仲間たちの口は、止まることを知らない。 「だーかぁらあー!ただの幼なじみだって!妹みたいなもんだって!!」 そう言い放つと、彼らは無言で攻めるようにじっと俺を見た。 「う、うわああん!はないー、助けてええ、わああん!」 タイミング良く泣き出した幼なじみに、呆れながらも駆け寄ろうとした俺を、泉の一言が後ろから追いかけた。 「花井、明らかにあの子のこと好きじゃん」 それを過保護という 「ちがっ、あいつみてんとイライラすんだよ!」 ただし、赤くなった顔で言っても説得力はまるでない。 4/28 happybirthday Azusa Hanai ! 080428 |