子供の日


あの鬼の副長が、こどもの日に産まれたなんて笑っちゃう。ぷっ!


なーんて、副長にいったら多分、ズタズタにされてこどもの日は病院で包帯ぐるぐる巻きの刑を受けることになりかねないので、口にはださない。

それを教えてくれた沖田隊長は、先日、土方副長へのプレゼントを見せてくれた。
大きな鯉のぼりだった。顔を土方副長に似せた特注品で、これを朝一番に屯所の屋根に掲げると息巻いていた。流石隊長はセンスがいい。

わたしは何あげたらいいでしょーね?

と聞いたら、「マヨネーズまみれになって頭にリボンでもつけて夜這いすりャあ、悦んでもらってくれますぜ」なんてアール指定ぎりぎりなこというから、隊長は足の小指を箪笥にぶつける刑決定だ。


しかめっ面の土方副長は瞳孔が開きっぱなしで文句なしに怖い。怖いし、マヨラーだし、煙草臭いし、マヨラーだ。

天は二物を与えず。
土方副長は顔がちょっといいだけであとは、人に好かれるような質じゃない。


「それでもなんでかな、わたしはあの人が好きなのです!」

「へぇそりゃあ悪趣味で」


いつの間にか現れた沖田隊長は、にたにたと笑いながら何故かときいた。


「だって土方副長、入ったばかりの新人のわたしが訓練で怪我したときに、ぱぱっと不器用に手当てしてくれたんですよ!包帯の巻き方がへたくそだったのがこりゃもう、ズギューンてきました」


心ときめく思い出に浸っていたわたしを、次の沖田隊長の一言が現実へ強制送還させた。


「…だ、そうですぜ。土方さん」


わたしが振り向いた先には真っ赤な顔の土方副長が立っていた。


「ひ、土方副長、好きです!」


確信犯だったわけでもないが、思わず口走ってしまったわたしに、さらに熟したトマトのように赤くなる土方副長。

初めて告られたわけじゃないだろうに、突然の事態をかわせていない副長は、こどもの日に産まれただけあって、まだまだこどもなようだ。

ぼんやりと失礼なことを考えていたわたしに、彼は色良い返事をくれるだろうか。

鯉のぼりが、屋根の上ではためいた。




恋のぼりと鯉のぼりの行方


5/5 happybirthday Toushirou Hjikata !
080505



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