まがりかど 「わわっ」 「ぐぎゃっ」 どてーん、と見事な音を立てて衝突した。 これだから曲がり角って嫌いなのよ、だって誰が飛び出してくるのかわからないから。 しかし今日は私にも非があることは確かだ。提出ギリギリまで後回しにしていた企画書、提出期限まで、あと五分。 手に抱えていたプリント類は無残にも飛び散っている。 「ご ごめ、」 言葉のような、そうじゃないような。 その声が耳に入ってきて初めて、私はぶつかった相手に視線を移した。 「三橋くん!」 それは確かに同じクラスの三橋くんだった。 びっくりして思わず声をあげたら、三橋くんはあわてて飛び散った私のプリントを拾い集める。 「あ あの、ごめん な、さ」 「拾ってくれてありがと!」 三橋くんは、私の言葉に「へ?」と不思議そうに首をかしげた。 「あ もしかしてどこか怪我した?痛かった?」 「お、オレは大丈夫」 三橋くんは、部活に行く途中だったらしく、ユニホーム姿だ。それを見て先日の試合での彼の活躍を思い出した。 「ピッチャー!がんばってね!」 スカートについた埃を払いながらそういうと、三橋くんは今度は疑問詞を浮かべることなく、満面の笑みで頷いた。 そのタイミングで鳴ったチャイムは、私の企画書の提出期限が切れたことを明らかにしていたが、そんなこと、今は全然気にならない。 可愛いものに目がない私はちょっと得した気分だった。 まがりかど注意報 5/17 Ren Mihashi Happybirthday ! 080530 |