ハニームーン


ハッピバースデートゥーミー、ハッピバースデートゥーミー…


夜中、不気味な歌声が聞こえてわたしは目を覚ました。時間はちょうど、深夜零時を越えたころ。

わたしのベットは窓に面していて、どうらやその声は窓のすぐ外から聞こえているらしい。…この上なく不気味だ。
金縛りにあったときとか枕元に髪の長いお姉さんが座ってたときは無視して寝るに限るというけれど、どうも今日は歌声が気になって眠れそうにない。

ホラーな展開とかあんまり得意じゃないんだけど…えいやっ、とばかりに勇気をだして窓を開けた。


「、小太郎?」


窓の外に寄りかかるようにして体育座りをした男が顔を上げる。



「あぁ、お前か。どうしたんだ?こんな時間に」

「それはこっちの台詞だよ。どうしたのよ、こんなところで」


長髪のその男は、恥ずかしながらもわたしの恋人だった。恋人であって決してストーカーではないはず。


「いや、ちょっとな…エリザベスと喧嘩して」

「それならちゃんと玄関から入ればいいのに。合い鍵、あるでしょ」

「お前が疲れているのに起こすのは悪いだろう」


妙に義理堅いのは、この人のいいところでもあるのだけれど。ともかく他にいく宛がなくてそこにいた理由はわかった。でもなんで、歌なんか?


「あれ、今日何日?」

「十分前から26日だ」

「小太郎、お誕生日おめでとう…ね?」


妙に義理堅いと思っていたのは、ただ誕生日を祝ってもらいたくて拗ねていただけらしい。
小太郎はわたしがおめでとうというと、凄く嬉しそうな顔をした。


「べ、別に祝ってもらいたくて来たとかじゃないからな」

「はいはい。とりあえず入りなよ。ケーキ、あるからさ」


緩んだ頬をごまかすように咳払いして「どうしてもというなら食べる」と言った小太郎に、わたしの頬も緩んだ。

今夜は徹夜で、お祝いだね。




ハニームーンの夜
(ハッピバースデーディア小太郎ー!)


6/26 Kotaroー Katsura Happybirthday !
080628



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