ただ一言がもらいたくて


目が覚めたら、なんかちょっと暑苦しかった。


「て、えええ!おおお沖田隊長!なんでここにいるんですか」

「…なんでィ、朝から耳元でさけんで」

「何って、それわたしのセリフ!ちょ、ここわたしの部屋だからね!?わたしの布団だからね!?」

「あー…はいはい、あんたのものは俺のものでさァ」

「寝ぼけてんのかこのやろォォ!」


とりあえず、何故かわたしにへばりつく沖田隊長をひっぺがそうとわたしは頑張ってみたものの、その華奢な身体のどこに力があるのか、彼はびくともしない。


「とにかく隊長、凄い暑いんで放してください!」

「やだ」

「は?なんで?ていうかなに、人の布団に潜り込むとかセクハラですけど!」

「あんたみたいな色気のない女に向かって、誰がセクハラをするかィ」

「はいィィ!?」


これが冬ならまだ暖かいなぁ、位で済んだかもしれないけれど、今は夏。7月。とにかく暑い。


「…ん?隊長酒臭くないですか?」

「…」

「寝るな!」

「…ちょっとは黙ってな、二日酔いに響きまさァ」


二日酔い!そういえば昨夜は七夕祭りだかで夜遅くまで騒いでいたような。


「だからって未成年が酒のまないで下さい!」


よほど二日酔いが酷いらしい隊長は、薄く目をあけてわたしを見ると、ふてくされたようにそっぽを向いた。


「俺、もう子供じゃあないでさァ」


それこそ、まるで子供のような表情だ。しかしそんな駄々こねられてもどうしようもない。


「もう、隊長何がしたいんですか」

「…別に」

「隊長」

「なんですかィ」

「このままじゃお誕生日、祝えませんよ」


わたしの言葉に顔を上げた隊長は、「もういいでさァ」と呟いた。


「もう、十分」


彼の意図が読めなくて、疑問詞を浮かべたわたしを抱き込んだまま、沖田隊長は本格的に眠りに落ちたようだ。
きっとわたしは妙な表情を浮かべている。さっきから、やけに鼓動がうるさいのだ。片思いの相手がこんなに近くにいて、平常心が保てるわけ、ない。

…彼の目が覚めたら、この落とし前をどうつけてもらおうか?



ただ一言がもらいたくて
(一番最初にあんたに祝ってもらいたかった)


総悟birthday
080708



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