黒曜風紀委員


「さて、ここで問題です。校内の壁や柱に付けられた無数の噛み傷、引っかき傷は誰の仕業でしょう」


びッ、と私は指を向けた。その指の先には呆れた顔の金髪頭がいた。


「あ?何?オレのせいだってゆーのかよ」

「ほかに誰がいようか!ここは動物園じゃありません!」


そう、ここは動物園ではない。ここは黒曜中にある教室のひとつ、その名も生徒指導室である。わたしは胸に付けたバッジを誇らしげに強調させて、言った。


「目撃証言は多数あるんですよ、城島犬!あなたの行い、黒曜中風紀委員長としてわたしは見逃すわけにはいきません!」


キラリ、バッジ(黒曜風紀と書いてある)が光った。…決まったな。


「?ふーきいいんってなんだびょん」

「ふ、風紀委員を知らないとは非常識な!イタリアからやってきたばかりとはいえ、それは許されませんよ!風紀委員というのはですね、」

「あーあひるだかすずめだかがやってるやつか」

「…!」


黒曜中風紀委員の鉄則一。
並盛を引き合いにだすべからず。


「比べたな!くそう、比べたな、並盛と!」

「は?」

「どうせ並盛みたいにすごくないよ、活動場所だって生徒指導室だよ、クーラー効いてないよ、活動費少ないよ!!」

「げっ、」

「しょうがないじゃない、だって雲雀にかなうわけないもの!じゃああんたが雲雀をとっちめてくれるってのかすっとこどっこい!」

「(すっとこどっこい?)」


ああ、いけないいけない。つい私とした事が、取り乱してしまったわ。
それはともかく今日はこの校内破壊常習犯の城島犬をとっちめなければ。(決して六道とか柿本が得体知れなくて気味悪いから、頭が悪そうな城島だけをとっちめとこうってわけじゃないのよ)


「あ、あの先輩」


私がうっかり自分世界へ入ってしまったのを、城島犬が心配そうに声をかけた。


「なあに、城島くん」

「ひばりなら骸さんが倒すびょん。だからガム返して」


え、今なんて?
雲雀を倒す?雲雀を倒すといいました?!!


「…城島くん!なんて素敵なのあんたたち!!私も協力するわ!!」


感情余って手をつかみ、そう言った私を見る城島の顔が、哀れみの目をしていたのは気のせいであろう。たぶん、照れてるのね。






風紀委員の憂鬱。




「骸さん、オレ、今日骸さんと同じくらい変なやつ見ました」

「…犬、骸様より変な人なんていないよ」

「その前に僕は変な人ではありませんが」



7/28 Ken Jyoushima
Happy Birthday!
080807



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