重大発表


それは、漸くこの世界に慣れたある日のことである。そりゃあ毎日つるんでた山本や獄寺、ツナからファミリーのこともマフィアのことも聞いてて知っていたけど、京子ちゃんの巻き添えでこの10年後の世界に飛ばされたときはかなり焦った。しかも、飛ばされた場所がわたしだけ雲雀さんの自宅(?)だったことの方に。(えええ、10年後のわたしって雲雀さんの何!?)

まぁ兎にも角にも、そんな成り行きでわたしはファミリーの一員にされた。(京子ちゃんたちとは何故か別扱い)(わたしだけ戦闘員かよ)
京子ちゃんはお兄さんがいないことでかなりナーバスな感じになっていたけれどそれも一件落着。若き日の情熱をそのままに、素敵に男前に成人した良平さんがやってきたのだった。


「よかったね、京子ちゃん」


涙を流して喜ぶ京子ちゃんにそう声をかけたのはつい1時間前。
そして、わたしは今状況が理解できていません。


「…あの、なんでわたし抱き締められてるんですかね…?」


そう!この筋肉質な引き締まった良平兄さんの身体がすぐそこに!
パニックになるより先にまずは京子ちゃんがこの場にいないことの方に安心。あ、でも他のみんなはいます。ツナとか口開いてるよ。

「良平さん…?」


名前を呼ぶと、そのまま慌てたように良平さんはわたしから離れた。すまん、と鼻の頭をかく仕草は、なんかかわいい。


「つい、いつもの癖でな」


いつもの癖?癖って!?思考能力が麻痺してしまったわたしを尻目に、ラルさんが意外そうに言った。


「なんだ、10年前はまだ付き合ってすらいなかったのか」

「恥ずかしいことに、こいつが中学卒業してからだ」


さらにとんでもない話は続く。


「こいつを雲雀に保護してもらってるうちに、まさか過去と入れ替わるとは」

「…おい、呆けてるぞ」

「あぁ、重ねてすまん」


そして良平さんはわたしに優しく微笑んで、頭を撫でた。(なんだろう優しくて落ち着く)


「あの…さっきからよく話が?」


勇者、ツナがわたしに助け舟をだしてくれた。さすがボス…!


「あぁ、良平とこいつはつい先月婚約発表したばかりだ」





そんな重大発表今されても…






「こ、婚約!?」

「見てるだけで恥ずかしいカップルだったぜ」

「カップル…!?」

「ちなみに京子も公認だぞ。10年前の京子も俺の片思いは知ってる筈だ!」


最早つっこみ所がわからない。



080912(8/26 良平生誕)



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