幼なじみデイズ


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「りーお!」


何かが、勢いよく利央にぶつかった。いや、飛びついたという方が正しいか。


「おわっ…名前ッ!?」

「へへーん、背中がら空きだぞー!」

「てか、何だよ!い、いきなり飛びかかんなよォ!」


利央に飛びついたのは、彼の幼なじみである名前だった。俺らと同じ中学からの持ち上がり組。
利央とは家が近いため、俺らも何かとつるむことが多いのだ。


「あ、準太先輩もこんばんは!」


彼女は俺に気付いて言った。挨拶を返しながら、彼女の腕から逃れようともがく利央を盗みみる。
あ、顔まっか。
利央はわかりやすい位、名前のことが好きなのだ。


「ちょっとォ、離してよ」

「うっさい利央。あたしは今、準太先輩と喋ってんの」

「な、オレは!?」

「なによ、利央はいつでも喋れるでしょ。準太先輩は人気者だから今しかないの。
準太せんぱーい、大好きです!」

「な、な!」


利央の真っ赤な顔は、途端に白くなった。
なんつーわかりやすいやつだ。ぷ、ウケる。


「準太先輩はぁ、あたしのことどー思ってますか?」


ニコニコと俺に微笑む名前。
と、名前から解放されてショックのあまり尻餅をついていた利央がゆらり、と立ち上がった。


(準サン、名前に手ぇ出したら許さないからね!)


利央の目は明らかにそう言っていた。睨み方が半端ない。お前、名前から死角な位置で良かったな、と言いたくなる形相だ。


「俺は年下はなー」


上目遣いをしてくる名前を無難にかわす。しかし、彼女はそれなりに可愛い。もし利央がいなかったらやばいかもしんない。でも、ぜってー手は出さない。彼女のバックには、呂佳さんがいるのだ。


「ちぇー、なんだー。準太先輩が彼氏なら自慢だったのにな」

「な、んで、そんな彼氏欲しいの!?」

「他クラスの女の子に、差し入れ貰って喜んでる利央には関係ないもんね」


ぷい、と利央から顔を背ける名前。なんだそういうこと。名前は利央にやきもちやいてんのか。
しかしアホな利央はそれに気付かないのか「それはちがう」とかなんとか、必死に弁解していた。


「オレは、名前が…名前の作るお菓子の方が好きだ!」


利央は真っ赤になって言うと、恥ずかしそうに視線を逸らして先に歩き出してしまった。


「反則、だっつーの」


ぼそりと呟いた名前の顔も、真っ赤である。




幼なじみデイズ




(ぷっ…くくく!!)
(ちょ、なんで準サン笑ってんの!?)
(大変、利央!準太先輩が壊れた!)

(お前ら、和むっつーの…!)

さっさとくっつけよと、正直思った。




(11/7 利央生誕)
081123



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