ペテン師の弱点 さっき雲雀恭弥に遭遇して、焼き鳥を奢ってもらったと報告したら、うちのリーダーは驚き、憤り、最後には神妙な顔をして呟いた。 「…えぐいですね」 眉間にしわが寄り、物凄く面白くなさそうな顔をしている。雲雀恭弥が気に入らないのだ。 余談だが、一節によると、大嫌いと大好きは紙一重なのだという。つまり、好きでも嫌いでも、結局凄く相手が気になるのに違いはないということ。 彼は雲雀恭弥が大好きなのか大嫌いなのか、そんなことはわたしは知らないが、雲雀恭弥をやたらと気にする。とにかく雲雀絡みのことを隠しておくと後々めんどくさいので、我らがリーダーこと骸に報告をした次第である。 「なにがえぐいんですか」 「えぐいじゃないですか。あのいつも肩にのせてる鳥!あれの前で焼き鳥食べたんでしょう、間違って餌代わりに与えたら、同族食いですよ」 ほら、やっぱり。 雲雀恭弥が鳥を肩に乗せ始めたのはごく最近のことなのに、(骸はどうせ暇人だからストーカーしたりして)しっかりチェックを入れているあたりがいやらしい。 「鳥に気遣うなんて誰も思いつきやしませんよ」 「雲雀なんて鳥に糞落とされればいい」 「……」 小学生か。 なんて流石につっこまなかったが、いつも冷静にいやらしい笑いを浮かべている骸が妙にガキ臭くて笑える。 「ヒバードってなんですか、ヒバードって!ネーミングセンスが無いにも程があります!あのアヒル野郎」 「骸さん、敬語ぬけてます、敬語」 後頭部のちょんちょんをぴょこぴょこと跳ねさせて憤る骸は、まさに拗ねた子供のようだ。 「だいたい、あなたがいけないんですよ!何で雲雀恭弥と接触なんてしてるんですか!あれほど近づくなって言ったでしょうが!どうするんですか、唾とかつけられたら!」 「いや、何もされてな」 「僕の女に手ぇだそうなんて笑えますね。クフフ…生きてられると思うなよ…クハハハハハハ!!」 一体いつ、誰があんたの女になった。 でもまぁ、いつもの余裕をぶち壊しにして憤る骸がなんとなく可愛いので許すとしよう。 「骸さん」 「なんですか!」 「好きです」 「あたりまえ…え?」 目を白黒させてきょどる上司。ひとまず、こんな美味しい展開をありがとうと雲雀恭弥に感謝、感謝。 ペテン師の弱点 080503 |