今日は雨がひどいので部活はなし、とのことだった。早いところ家に帰って寝ようと思っていた。あたしはとても疲れていた。机の引き出しに手を突っ込むと、紙くずがまず指先に当たる。取り出してみれば、それはただのゴミである。それらを掻き分けて教科書を引っ張り出し、ロッカーに向かうと鞄がなくなっていた。いい加減に慣れた。こんなの日常茶飯事なのだ。
 思い返してみれば、きっとあたしの態度がみんなの神経を逆撫でしたのだろう。だからといって今更てのひらを返したように猫を被ったところで、気持ち悪がられるだけに違いない。どうしようもないところまできてしまったのだ。ため息を吐いて、鞄を探しに校舎を出た。





 置き忘れた教科書を取りに戻るべく学校に向かった。濡れた体が震えて仕方がない。そりゃあ勿論、熱を奪われて、寒いのは当然だ。でも震えたのは寒いからというだけではない、心が、とても、寒かった。鞄は近所の公園のトイレの個室に隠されていた。中に入ったら、数人が待機していたようで、ドアを押さえられて出られなくなった。焦っていたら上から水をかけられた。せっかく傘を差してここまで来たのに勿体無いとか、まさかこんなベタなことをする奴らがいるなんてとか、色々思うことはあったが、それ以上にたまらなく孤独感を感じた。メインキャラじゃないんだから適当にあしらっておけば大丈夫、だなんてたかをくくっていたあたしが悪かったのは理解してる。それにしたってこりゃあ、あんまりだ。泣きつく相手もいないこの状況で、あたしはどうしようもなくひとりだった。







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