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「すまないね」
わたしは眠っているようだった。朦朧とする意識の中でその声を識別しようと奮闘する。どうやら神様のようだ。
「君の魂を、俺ははじめから知っていた。ずっと見守っていたんだ。今回の人生はきっとうまくいくんじゃないかと思ったんだが、あまりに唐突に終わってしまった。あんまりじゃないか、華の時代の真っ只中で幕が下りるなんて。俺は君をどうにかしてひろいあげたかったんだ。もう終わりだと、期限は終わったんだと言う上に我侭を言って、無理にでもと思ってこんなところにつれてきたんだが……余計なお世話だっただろうか」
珍しい。そんなにしおらしくするなんて、神様がそれでいいんですか。言いたかったけれど身体がどうしようもなくだるい。薄っすらと目を開けると、つらそうな顔をした神様がそこにたたずんでいた。所在なさげにしているその様子は、神様というにはあまりにも、わたしたちに近かった。