かわいい×イケメン
お題:僕の恋人はかっこよくて、勉強もスポーツもできて学校一の人気者。…そんな彼にも、ひとつだけ欠点がありました。



 そのひとつだけの致命的な欠点。それは根っからのネコ体質…ということ。
 や、欠点にはならないだろうけど、彼は皆が知っての通りとても顔立ちがよく、八頭身なカラダはほどよく筋肉が付いていて男として憧れてしまうし、勉強・スポーツ共に文句ナシ。
 なんでこんな完璧な彼が僕と付き合ってくれるのだろうという疑問は尽きないけれど、僕は彼が本当に好きで、愛してて、そんな彼がネコだなんて思うはずもなくて。だからハジメての夜は背後の覚悟を決めていたのだけど…彼の発言に拍子抜けしてしまったんだ



 最初はゆっくり、丁寧に僕の制服のボタンを外してくれて、(ああ彼は性格も素敵なんだな、)と少しの緊張を抱えながらも思ったりして。彼の顔を伺ったらとても誠実な眼差しで、気のせいかほっぺたが蒸気していて。それだけで一気に親近感のようなものを感じて嬉しくなる。ボタンがすべて外れたときにはとくとく高鳴る心臓も最高潮に達していた
 僕の膨らみのない胸の突起が見え隠れし、気恥ずかしくて少し目線を逸らす。僕が初めてなのを知ってか知らずか、優しく触れてもいいかと訊いてくれ、流石に口にするのはムリだったからこくりと頷いた
 とくに尖りを見せないソコに触れられる。まあ、開発してもされもしていないソコは冷たい指先にぴくりと反応するだけ。きゅ、っと摘まれたと同時にぼんやりした頭の中で僕はついに彼の手で――そう実感し瞼を伏せる。こと、数秒。そこから先のアクションが無い。どうしたのだろうかと彼に視線を送る。すぐ目の前にあった彼の顔にドキッとして、ああキスかなと推し量ってみれば、その薄い唇は僕の名前を呟いた

「か、芟花(かりか)…っ、ごめ、」
「へっ。ど、どうしたの? 何か有った?」

 唐突に謝れてしまえば僕ってもしかして魅力がない…?と不安になりつつも問いかてみると終いに彼は涼やかな瞳を潤ませた

「葉色(はいろ)くん…?」
「っ、つ、オレぇ…あの、な」
「ウン。僕に言えることなら教えて?」

 普段の格好よさからは想像出来ない今の彼に、男としての本能か、可愛いな、なんてときめく。中々言い出そうとしない彼を慰めるため癖が無く少しだけ長い髪を梳くようになでると、かあ、とまるで乙女のような表情を魅せた彼は俯きながらぽつりと言葉を放つ

「おれ、お前を…抱けないんだ。」
「ん…そ、か。それは僕に魅力が無いから…?」
「違うッ、そうじゃなくて、オレ、オレ、」




「…ネコ、なんだ。」
「え…猫?…ねこ…ネコォッ!?」

うん、と申し訳なさそうな彼。一気に力が抜けてった



「こんなナリでネコとか…引いた、だろ。黙っててゴメン。でも…オレ本当に苅花が好きで、嫌われたくなくて、言えなかったんだ」

 ごめん、ごめんと繰り返す葉色くんの今まで耐えていた涙がはらはらと流れ白い頬を濡らしていく。自然と彼の下にいる僕に降り落ちる涙をぺろりと口に含めば、当たり前だけどしょっぱくて、でもなぜか―彼のものだからか、どこか甘いような気がした。
 もっと、食べてみたい、かも?
 僕が上半身を起こすと、彼は小首を傾げて不思議そうにしてみせる。 僕はただ彼の髪を梳きながら、名前の通り葉色をした瞳が僕を捉え離さないのをいい事に眦を舐めてやった。

 「苅花っ」

 驚きを孕む声色は知らんぷり。始めはチロチロと舌先を窄めて怖々と、次第にキスを落として、その拍子にぢゅぅ、とすいつくとそこには赤い花びらが咲き、それだけでも葉色くんはうっとりとした響きを洩らす

「ん、ぁ…かり、か、キモチ悪く…ねえの…?」
「んん、なにが? ちゅ、ふ、」
「っ…も、舐めんなぁ、、んと…だからぁ、」
「ふふふ。葉色くんは可愛いねぇ」
「え、?」

 こんなに格好いい彼を可愛らしいだなんて、と自制していたけれどそれってつまり僕は素直に彼を愛でていいという訳でしょ? うん、イイんじゃないかな? 濁りなく彼一色に心を染められるし。花びらを指でなぞって不安げな彼を安心させてあげようか

「葉色くんはさあ、スポーツ万能で、勉強もできて、格好よくて。だから、どうして君が僕と付き合ってくれるのか不安だったんだけどね?」
「…ん。」
「だけど、それに可愛いがプラスしちゃって今更嫌って言われても手放せなくなりそう…こんな僕でもいいの?」
「ッそれ ほんとに、ほんと? オレのこと、手放さないでいてくれる?」
「ふふ、葉色くんが許してくれるなら。」
「かりかぁ!」

 ぎゅううう。泣きながら彼は僕に抱き付いてきた。僕の方が背は低いから、なんだか不格好のような気もしたけど仕合わせそうにする彼に僕も嬉しくなって葉色くんは泣き虫だなあ、って背中をさすった。今度の涙は僕の肩が吸い尽くして食べられそうにもないや

「ね、付かぬことお聞きしますが」
「ん、ひぐ、グス…なに…?」
「葉色くんがネコなら僕上になっちゃっていいの?」
「はっ!? あ…え…っと、苅花がいい、なら…。」

 ごにょごにょ。恥ずかしそうにうん、と首を前に振る彼。うーん、僕にタチが務まるかな、いや、こんな葉色くんを見て今更下になんてなれないけど、ね…

「あのな、」
「ぅん? なぁに」
「おれ、初めてだから…その、優しくして…?」
「………」

 ―彼は正真正銘なネコだとたった今身に染みて思う。今までさんざん泣いていたせいで潤んだ眼のままおねがい、なんて舌足らずに言われた時にはもうたまんないよね…っ

「葉色くんちょーかわいいッ愛してる!」
「ちょっ、かりかぁ!? 待って、まだ早ぁ、ああっ」


愛してるよかわいこちゃん、

 彼はどうやら、僕の上に乗るのは好きらしい。気持ちよさそうに顔を歪めて、あの頃より確実に色っぽさが増している。

「何…考えて、っんあぁ!」
「なーいしょ、」

 も、むり、吶々な喘ぎ声は掠れてるけど折角の三年記念日なんだし、もーちょっとガンバって貰うよ? はいろくん


140217
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