* novel | ナノ
 だらりとはしたない液体が流れるそこは一切触れていないにも関わらずはちきれんばかりで両腕で顔を覆い隠すなんてかわいいことをする早瀬のナカをごつりと突く。物足りないというかもう萎えてしまいそうだ
 正直緩すぎて処女ばかりと行為をしていた俺にとってどんなに名器と言われていようが何となく不満なんだよね。興奮、ってのはしてるんだけど、なんだかちょっと。やっぱ誘われるがままがいけなかったなぁ。誰もが恐れる会長様の本性がビッチだってことは知っていたからその味はどんなものかと思ったら、全くつまらん。止めときゃよかった

「っ、なに、考えてんだよ」
「なんでもないから感じといて」
「んっあ! ひっ、いきなり…!」

 肉同士がぶつかる音が部屋に響く。こうなったらだるいしイかすだけにして終わろう。今まで焦らすだけ焦らしておいたのを止めて太ももを掴めば引き抜いて一気に押し戻す。童貞よろしく下手な突き上げもたまには初心を思い返させるだろうし、いいんじゃなかろうか。あんまり激しくするとパンパン、と一番俺が萎える原因の音が目立つのでいつもならしないけど、今日だけはもうどうだってよかった。仰け反り返ってダイレクトに聞こえる喘ぎ声にくらくらすることなく終わってしまった

* * *

「お前ふざけてんの?」
「言いがかりは止してくださいよ」

 軽く失神した人が言うセリフではないな。元から俺は制服を着たままだったからブレザーを羽織るだけで身支度を済ませ、適当に椅子に腰掛ける。偉そうな態度で半裸の早瀬は煙草を銜え鋭い目つきで睨んだ
結局そのままやる気を無くした俺はずるりとナカから自身を抜いて早瀬の身体を清めてからの現在をバレてしまったのか。

「物足りなかったんだろ? しかもお前イってねえじゃん、要望ぐらい聞くつもりだったんだぜ?」
「いやぁ、もうほとんど萎えてたしあんまり効果は無かったんじゃないですかねえ」
「ハッ 他の男どもはひぃひぃ言ってたんだがな。ヤリチン相手にゃ無理だったか、残念。」

 ヤリチン呼ばわりは頂けない。ビッチ扱いすんぞこら。吐き出す煙に噎せそうになる。俺って喘息持ちだったりするんだよねー、帰っていいかな

「あんたが童貞狩りしてると同じく俺も処女がいいんでね、気持ちよくないんですよ」

 うん、誰にだって好みはあるし。にたりと男前な笑みは抱かれる側じゃなく抱く側のものだ。窓を開け換気しながら、月明かりが照らす早坂…めちゃくちゃ抱く側にありそうなイメージだってのに下で乱れまくるなんて誰が想像するよ。少なくともカワイイ系のこいつの親衛隊は思わないはずだ

「強姦野郎かよ、お前」
「ぶは、まさか。そんな悪趣味なことしませんよ、むしろ向こうが誘ってくるんでね」
「ふぅん」

 疑わしい目線あざーす。あんたも変わりないこと、自覚してる?それに俺みたいな平凡顔してようが処女を捧げるならまずはあいつにしておいた方がいいと噂がたったからこそ今の俺がいる。魔性のホモでもないし自ら進んでやろうもんでもない。ただ性欲が解消されるんならそれだけでいいって考えもあるからいけないんだろうけど。ぐだぐだ言い訳を紡ぐように脳裏で解析していると、不意に早瀬が口を開いて現実に叩き落とされる

「…俺が処女をくれてやったやつを誰か知ってるか?」
「知るわけないでしょ」

 自分の童貞ならまだしも他人のシモなんぞ分かるか。そう言えば笑ってだろうなぁ、とにやつきながら煙草をもみ消せば「今度はお前を絶対にいいとこ連れてってやる」、と、俺でなければ誰しもが落ちてしまいそうな言葉を残してベッドに引きずり込もうとするのを押し倒す。
もう1ラウンドなんてごめんだぜ





「ヴァージンキスには程遠い」
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -