* novel | ナノ
 なんだかんだ好きだと思う。
 それはやけに妖艶な会長に向けてか、その会長を讃える信者共に向けてかは分からないが毎度同じく食堂で蒼依は呟いて金銭問題か一番安いピザを食べながら囲まれている場所を見た。その中心にいるのは「神様」であり「会長」でありその名を「神流」というどれにしろ絶対的な立ち位置にいる人物を思い浮かべて苦い笑みを浮かべる。相も変わらずカンナ様、を連呼する輩は苦手だがここ最近自分の中でも区別が生まれたのか少しのヤキモキだけで済んでいることに、それなりに成長出来ているらしいと納得して席を立ち上がる。こうして少年はまた一歩大人に近づくのだ、長い人生こんなこともあるだろうと諦めて「どけ」という言葉にそそくさと道をあける主に信者であろう生徒の中から出てきた会長は男を見つけるなり低い声音で、「アオイ」と呼ぶ。自身の名前と同じ色をした瞳で会長を写し軽く頷くとその場を去った

「あんな場所で名前を呼ばれても目立つだけなんですが」
「オマエはオレのだって分かりやすいだろ」
「俺なんか誰もいりませんよ」

 あなたと違って。
 自虐的に言い放つとそれならそれで良いというポジティブな口調に苦笑してみせた。二人しかいない生徒会室でソファーに腰掛け、寝そべる会長の枕になる膝が痛みながらも髪を撫でていればにやりと人悪く歪む口角に呆気に取られて小首を傾ける

「何なんですか」
「…『やっとアオイを手に入れた』」
「え、はぁ?」
「何度だって言ってやるよ。オレはオマエのためなら抱かれる、それってオレの最大の愛情表現だろ」
「……熱烈な告白をどうも」

 愛を紡ぐほど熟れた果実のようにとろりと溶けそうな眦は彼の性格に似合わず赤い。人を好きになると神であれ可笑しくなってしまうのだろうか。自分の気持ちすら良く分からないまま、弾力のある唇を啄めばくくっと喉を鳴らしてお前はオレのものだと豪語する会長はその手先で蒼衣のネクタイをほどくなり自ら深く口付けて服を脱ぐ。
「会長のストリップショーなんて見応えありそうですね」
「…脱がせるか?」
「いいえ。こっちの方が楽しいですから」




神様の優越感


title by:春の海
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