要(かなめ)×瑞帆(みずほ)
ばかみたいに愛してます。
どこか自嘲的に嘲り額に唇を落として「また明日」と去って行く後ろ姿が泣きそうで、寂しそうで。その手を引いてやるのは自分じゃないと散々反発していたくせに抱きしめて欲しいと引き止めてしまったのは、僕だ
「みず、ほ、さん」
「要くん、おでこじゃなくて唇がいいな」
驚きを隠せず瞳を大きくして、振られたはずの男に抱きしめることを強制されて、哀しいね
一生懸命忘れようとしてたんでしょ。ごめんね、僕の決意がぐらついていて。好きも愛もいらないよ、今までくれた分は返すから。やっぱり僕には今まで通り犬みたいに名前を呼んで慕ってもらいだけだったのかも
彼だって子供なんかじゃない立派な大人なのにね。
「好きだよ」
「…ッ」
「でも、この気持ちは恋慕じゃないんだよ」
どうしたら、幸せになれるかな。昔僕が君に聞いたこと覚えてるかな。今はね、僕も君も互いに幸せになれる方法が知りたい。そのためには友情が愛情に変わってしまったいま、二人は一緒にいちゃだめなんだろうね
「……貴方はいつも身勝手だ」
…うん。バイバイ、要くん
「っていう夢を見たんだけど」
「なんですか、最近仕事忙しいんですか」
「いやぁ、この頃別れるバットエンドカップルな役しか貰えないんだよね」
「そりゃそんな雰囲気ですよね、先輩って。なんか雪のなかで恋人と抱きしめ合いながら別れるみたいな」
「なにそれヨン様みたいな?」
「そんな感じですね」
「わぁ、僕ってば超イケメンなんだねー。もういいやおやすみ」
「……」
二人ぶんの愛の境界線
(そんなものどこにも存在しないんだけどね)
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