02

入学式も終わり、新しいクラスで担任の先生のお話も終わった。あとは解散。もちろん私は部活動見学。

「君、嬉しそうだね」

「か…顔に出てました?」

「うん。すごく」

まだ誰の名前も覚えてないからわからないけど、確かこの人はクラスメイトだったはず。

「えっと…」

「ふふ、緊張しないで。俺は真波山岳。
今年一年、よろしくね?」

天使のように笑う彼の名前は真波くんと言うらしい。それにしても、山岳って名前すごいな。クライマーって感じ。

「あっ、私は福富なまえっていいます!よろしくお願いします!」

「福富さんか。そんなに畏まらなくていいんだよ?俺ら同い年なんだし…」

「そ、そうだよね!よろしく真波くん!」

真波くんはふわふわしていて、なんだか飛んでいってしまいそうな感じがした。

「福富さんは部活見学行く?」

「う、うん行くよ!真波くんは?」

「俺も行くよ。良かったら一緒に行かない?」

なんて天使なのだろう。確かに私1人で先輩方のいる部活を見に行くなんて緊張してできなかったかもしれない。いくら寿一くんがいるとは言え、肩身が狭いのは変わらない。
私は嬉しくて首を縦に大きく振った。

「ぜひ!ぜひ行こう!」

「ならよかった。俺、自転車競技部に行きたいんだけど、福富さんは?」

一瞬、この天使は心が読めるのかとさえ思った。

「わ、私も自転車競技部行くつもりだったの!」

「わ!そうなの?なんか嬉しいな」

そうと決まれば早く行こっか、なんて真波くんは私の手を引いて歩き出す。
悲しいかな、こういうことに耐性の無い私はもう心臓バックバクだ。真波くんは手慣れてるなぁ…。

「ほら、着いたよ」

真波くんに引っ張られて着いたのは部室の前。プレートには『自転車競技部』と書かれている。ここに、ここに寿一くん達王者がいるんだ…!
そう思うと緊張してきて、深呼吸をしようと
息を吸った途端に、

「こんにちはー」

真波くんが!なんのためらいもなく!入ってしまった!!!
どうしよう私まだ心の準備ができてないのに!
私の心中など露知らず、あっけなく扉は開かれる。出てきたのは寿一くんで、少しホッとした。

「部活動見学か」

「はい。俺、自転車競技部に入りたくって」

「そうか、それは歓迎だ。自由に見て行くといい。」

「ありがとうございます。」

そして部室の中に通される。まだ部活が始まってすぐだからか、部室にはたくさん部員がいた。

「入部希望者だ」

寿一くんの一声で周りが一斉にこちらを見る。よ、予想以上に緊張する…。

「まだ正式な入部はできないから仮入部という形になるが、よろしくしてやってくれ」

軽く自己紹介を、と言われ真波くんが先に出る。

「真波山岳です。坂が好きです。よろしくお願いします。」

ぺこ、と頭を下げると真波くんに目で合図される。私の番だ。

「福富なまえです。マネージャー志望です。よ、よろしくお願いします!」

大丈夫、噛まずに言えた。途中ちょっとつっかえたけど。

とりあえず今日から、仮入部開始だ。




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