01

待ちに待った入学式。
長い長い校長先生のお話も終わって、次は部活動紹介。寿一くん早く出ないかな、とステージをぼんやりと眺めた。

「次は自転車競技部です。」

お待ちかねのアナウンスが響いて、ぼんやりしていた頭は一気に冴え渡る。
寿一くんが自転車競技部について簡単な説明をしたあと、少しの自転車パフォーマンス。
パフォーマンスをしているのは寿一くん以外の三年生らしくて、ちらほらと「○○先輩かっこいい」とか「○○くんかっこよすぎ」なんて声が聞こえる。
私達新入生は先輩方はおろか同級生の名前すら知らないから、言っているのはもちろん2、3年生。
さすが王者。ちゃんとファンまで付いてるんだ。

「えっ荒北いるじゃん」

ファンの方とは違うトーンの声が聞こえて、思わずそちらに耳を傾けてしまった。あんまり柄の良くなさそうな女の先輩二人が話をしていた。

「ホントだー。アイツヤンキーだったのに変わったと思ったらチャリ漕いでんの!?」
「バイク乗り回してたのに急にチャリとかウケるー」

ギャハハハ、と笑い声が頭に響く。荒北さんがどれかはわからないけど、今一生懸命に自転車を漕いでいる人をバカにするなんて許せない。
どうしてそんなこと言うの、なんて言う勇気は私には無くて。それがすごく悔しかった。




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