熱帯夜

なんか寝苦しいと思って隣を見たら荒北がいた。なんだこいつは。いつの間に入ったんだ。
季節はもう夏だっていうのによくもまあくっついて寝られるもんだと迷惑ながら私は感心した。
でも暑いものは暑いので私にひっついて寝ている荒北を引き剥がす。少し呻いたが大人しく寝ている。よかった。

暑苦しさから解放され眠りに就こうと瞼を閉じると、ぎゅ、と抱きつかれた。だから暑いってば荒北。
また引き剥がそうとすると今度は離れてくれなかった。ぎゅうぎゅうと私を抱きしめて離れまいと頬を寄せる。
うん、可愛いんだけどね。如何せん夏だ。ベリーホットなんだ。

「荒北ー」

「暑苦しい、離れて」

「おい荒北」

ク、と荒北の肩が揺れた。狸寝入りしてやがったのかこいつ…!

「荒北ー…」

「そんなに嫌そうにすんなヨォ、いいじゃナァイ?恋人同士でショ?」

そう言って荒北は強く私を抱き締める。

「暑苦しい。寝辛い。なんでくっついてるの。」

私が酷いことを言っても腕の力を弱めることはなく。嬉しそうに言った。

「なまえチャンの汗の匂い…興奮するンだよネェ…」

言いながらクン、と首筋に顔を寄せる。やめてくれ。汗の匂いなんか嗅ぐな。

「ふざけるなばか北」

「あ、なまえチャン恥ずかしいんだァ?顔赤いヨ?」

ぺろ、と首筋に舌を這わした。
こいつ…舐めやがった…!!!

「ばか!あほ!舐めるなエロ北!!!」

「エ?エロ北とかなまえ…
エッチなこと考えたんだロ?」

「!!!!!!!!」

ずるい。急に呼び捨てにしたりして。
荒北はわかってるのかな。自分がどれだけかっこいいか。
ちょっとは言われる方の身にもなってほしい。こんなんじゃ心臓が持たないわ。

「そんじゃなまえ、イタダキマス。」


ああ、暑い。






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