05




そうして少し待っていると、部員の方々が戻ってきた。

部活動紹介の時話題に出ていた荒北さんってどんな人なんだろう。バイクに乗ってたってことはヤンキーなのかな。でも部員の中にヤンキーはいなかったから違うのかな?

「3年は集まってくれ。」

「んァ?今度はどーしたの福チャン」

「お前たちの紹介をしていなかった。全員は無理だが、3年くらいなら今紹介できるだろうと思ってな」

「なんだそんなことか!自己紹介くらいいつでもするぞ?俺の名は東堂尽八。山の神と書いて山神…」

「うっせ東堂!名前だけでいーだろォが!!」

「む、うるさくはないな!」

そう言ってわいわい騒ぎ出す東堂と名乗った先輩と目の鋭い先輩。
私はどうしていいか分からずにおろおろしていると、隼人くんが声をかけてくれた。

「まぁあれは気にしないでいいよ、いつものことだから」

「は、はぁ…」

隼人くんは私を見てにっこり笑うと、未だに騒ぎ続けている先輩方の方を向いた。

「おーい尽八、靖友。なまえちゃんが困ってるぞ?」

隼人くんの声に静かになる2人。
それから顔を見合わせて、そして背けた。

「んァー、えっと、コイツはもう分かるからしなくていいよナ?」

「あ、はい、東堂先輩…ですよね?」

「なんなら尽八先輩って呼んでもいいぞ!いやむしろそう呼んでくれ!」

「あ、じゃ、じゃあ尽八先輩…」

「わはは!合格だなまえちゃん!」

がしがしと頭を撫でられる。尽八先輩って明るくて楽しい人だな。ころころ表情が変わるから、見ているだけでも楽しい人。寿一くんとは全然違うなぁ。寿一くんが変わらなすぎるだけなのかもしれないけど。

「あ、荒北の自己紹介がまだだったな!この目付きが悪くて怖そうな奴は荒北靖友だ!近寄ると喰われるから気を付けるんだぞ!」

「なァに勝手なコト言ってんだこのボケナス!お前が紹介したら自己紹介じゃネェだろが!」

あらきたやすとも

あ…この人が。この人が荒北先輩なんだ。
そう思った途端に部活動紹介の時に何も言えなかった悔しさを思い出して。

「荒北先輩は、かっこいいです!」

つい、言ってしまったのだ。

…しん。

と周りが静まり返ってから、私の頭はしばらく動かなくて。

真っ赤な顔の荒北先輩を見てから、自分が発した言葉の恥ずかしさに気が付いて。
私はその場にしゃがみ込むことしかできなかった。





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