うましか




好きな人がいるんだ。

と、深刻な顏の高尾に相談を受けたのはつい昨日のこと。
なんでも高尾の想い人は、どんなにアプローチしても一切伝わってくれない鈍感さんなんだとか。

高尾は明るくてコミュ力高くて顏も良くて運動もできて、とそりゃもう誰もが羨むハイスペックなヤツなわけだが。
そんなハイスペックにアタックされても気づかない女子はスゴイな。高尾結構わかりやすいのに。

だが、私はこう思うのだ。

「高尾がハイスペックすぎて信じられないのかもしれないよ。こんなハイスペックがまさか自分に!勘違いかも!みたいな」

「え?じゃあ俺どうしたらいいの?」

「きっとハッキリ言わなきゃ信じられないと思うよ。遠回しじゃ伝わらないぞ!頑張れ高尾!私は応援してるからね!」

大事な友達の恋が成功してほしいと思うのは誰もが皆同じだろう。私は全力で応援しようと思う。
ただ、高尾に彼女ができて、今までみたいに悪ふざけできなくなるのは少し寂しいかな。

「よし、じゃあ言うわ!」

「うん!その意気だ高尾!」

「好きだ!」

「もっと腹から!」

「好きだああああ!」

「いいぞその調子だ高尾!」

「好きだ!俺はなまえが好きだ!」

「いい声だ高尾…ん?」

今何か、変な単語が混じったような…

「好きだ、なまえ、好きなんだ」

「え、え……は!?」

何を言っているんだ高尾よ。お前の好きな人は最強鈍感女子じゃないのか。

「あ、信じてねぇだろ。ハッキリ言えって言ったのはなまえなんだからな?信じろよ。」

「は、え、はぁ!?」

いや、確かにそう言ったけど、私がそうされるなんて考えてすらいなかったから。ハッキリ言われても未だに信じられない。なんだか頭がふわふわとする。

「なぁ、まだ信じてくれねぇの?」

「だって…高尾…好きな人がいるって…」

「なまえはアホ!?アホなの!?その好きな人がお前だって言ってんの!わかる!?」

「ん…?」

「ああもう!あのね、なまえ、よく聞いて。俺は好きな人がいるの、それは同じクラスでいつも一緒にバカやってて今俺の目の前にいるみょうじなまえ。
俺の好きな人はみょうじなまえなの。わかった?」

えーっと、なんとなく理解した。頭の処理がイマイチ追いついていないが、つまり高尾は私が好き、ということで…

私は…?

「わかった、私、高尾好きなんだ。」

「話飛びすぎっしょ!…まあ、これはこれでいっか、うん。」

どこか高尾は腑に落ちない様子だったが、私の気持ちを高尾は受け止めてくれた。

「何がいいんだ?よくわからないが私と高尾は好き同士ということなんだろう?」

「うん、まあ、そうだね、好き同士だ。好き同士のことは何て言うかわかる?」

「こいびと。」

そう言うと高尾は、よくできました。なんて言って私の唇を奪っていった。

あ、それ、私のファーストキス。

「唇柔らかいな、高尾。マシュマロにキスしてるみたいだ」

「バカなの!?この雰囲気でそういうこと言っちゃうの!?可愛すぎんだけど!!!!!」

高尾がとても嬉しそうに私をだきしめるから、私も嬉しくなった。
これからも私、高尾とバカやって過ごせるんだなって思ったら、もっと嬉しくなった。

「高尾とこれからもこうやってバカやれると思うと私は嬉しいぞ」

そう言って笑ったら、これからは和成って呼べよ、と返された。





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