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「寿一くん…」

「どうしたなまえ、好きなように見学していいんだぞ」

「あの、その…私、先輩方の名前知らないなぁって…」

「………。」

一瞬の沈黙。

「そうだったな、お前達にばかり自己紹介をさせてしまった。すまない」

「ちょ、謝らないでよ寿一くん!後でしてもらえたらそれでいいから…」

相変わらず寿一くんは真面目だなぁ。まあそこが寿一くんの良いところなんだけどね。

「しばらくしたら休憩を入れる。そしたら改めて自己紹介をしてもらおう。だが、3年のみだ」

「いや、3年生だけで充分だよ!全員の自己紹介なんてしてたら部活終わっちゃうでしょ?」

「…そうだな、他の部員は正式に入部したら紹介することにする」

少し考え込む素振りを見せたあと、三十分したら休憩にするからそれまで見学していろ、と言われ、とりあえず見にいってみることにした。

「あ、きたきた福富さん。主将さんと話してるから声かけようか迷って先に行っちゃった。ごめんね」

そこにはぼんやりと練習を見学する真波くんがいて、私の姿を見つけると楽しそうに手を振った。

「私こそ勝手に話し込んでてごめんね。先輩方の練習どんな感じ?」

「うーん…やっぱり王者なだけあってスゴいのかな?よくわかんないや。でも見てたら俺も走りたくなっちゃった」

えへへ、と真波くんは笑う。
それからは軽くお話しながら先輩方の練習を見学していたら、三十分なんてあっという間に経ってしまった。

「よし、休憩にするぞ」

「「「「はい!!!!!」」」」

寿一くんの一声でまわりがてきぱきと動いていく。これでやっと3年生の皆さんの名前が分かるんだ。

これから私がマネージャーとして彼らをサポートできたらいいな。そう思いながら私は先輩方が来るのを体育座りで待っていた。






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