03
ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、私の苗字に反応した先輩方に一気に詰め寄られる。
「ちょ、福富ってもしかして福チャンの妹ォ!?」
「福!妹がいるなんて聞いていないぞ!!」
「やぁなまえちゃん。久しぶり〜」
あ、隼人くんだ。隼人くんは寿一くんと中学から一緒だから、私と顔見知りだ。
「お久しぶりです、隼人くん」
「なッ…新開とも知り合いなのかヨォ!」
「どういうことだ!?説明しろ寿一!」
「説明もなにも、見ての通りだ。なまえは、俺の妹だ。」
「ほ、本当に福の妹なのか!?全然似ていないぞ!!!!!」
「福チャンに似てたら鉄仮面になるとこだったネ!」
「なまえちゃんは顔に出やすいよね」
「えっと、あの、その、」
だめだ。一気に言われすぎて思考が追いつかない。どうしようどうしよう助けて寿一くん!
「その辺にしておけ。いい加減に始めるぞ」
ナイス寿一くん!
寿一くんの一言で、私に詰め寄っていた先輩方はみんな各々の場所へ戻って行く。
「じゃア次の休憩でお話しようネ、なまえチャン。」
黒髪の目の鋭い先輩に戻り際に耳元で囁かれて、反射的に肩が上がる。
「!は、はい!」
そういえば私、先輩方の名前知らないや。
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