午前ゼロ時に、

プルルルル

コールを何回か鳴らす。

郁はだいたい5回目で出る。


そして5回目のコール。

「はい、もしもし?」

当たり。

また郁のことを知った気がして嬉しくなった。

「もしもし、名前? こんな時間にどうしたの?」

こんな時間、というのはもう12時が近いということだろう。

「あのね…、」

時計を見る。

12時まであと10秒。

10、

「郁に言いたいことがあったの。」

9、

「何?」

8、

「あたし、郁のこと好きだよ。」

7、

「急に改まってどうしたの?」

6、

「いいから聞いてよ。」

5、

「郁と一緒にいれて本当に楽しい。」

4、

「だから、ずっとこれからも一緒。」

3、

「…当たり前。 変な名前」

2、

「ほら、もうすぐだよ。」

1、

「何…」

0、

郁が言い終わらないうちに電話を切る。

ピンポーン

チャイムを押す。

ガチャ

出てきた郁は驚いて、あたしを抱きしめた。

「何してんの…、」

「お誕生日おめでとう、郁。」

「こんな時間に危ないんだけど。」

「だって1番に言いたかった。」

「…、ありがとう。」

「どういたしまして。 素直な郁も好き。」

「その生意気な口を塞ぐのが僕の役目だからさ。」

唇が重なって、

12時1分になった。

<午前ゼロ時に、>

(キミと)

(キスを。)

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