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「名前!」

「ん〜錫也?」

眠い目をこすって視界をクリアにすると綺麗な顔をして微笑む錫也の顔が近くにあった。

「うっわぁ!」

「何だよ、その化け物扱い。 お前がデートなのに寝ちゃうのがいけないんだろう。」

折角の錫也の家でのデート。

それなのに心地よくて少し眠ってしまったようだ。

しかし、怒ったフリをする錫也は全然怒れてなくて、少し微笑むと錫也の機嫌をそこねたようで。

「あーごめん、錫也。 嘘、笑ってないから、ね?」

「んー、名前からキスして。」

「はぁ!?」

彼は突拍子もないことをいきなり言い出す。

これは付き合ってから分かったこと。

「んー、わかったよぉ。 機嫌、直してね。」

そう言って錫也の顔に唇を近づけ…

唇と唇が重なるように触れる。


それだけなのに、

ドキドキして。

私の心は早い鼓動を奏でる。

「す…ず…。 …これで、満足…でしょ」

少し怒ったようにフイッとそっぽを向いたはずなのに「照れるなよ」と錫也に図星をつかれてもっと顔が熱くなる。

「名前からキスされたの、貴重(笑)」

「別に…貴重なんかじゃないもん。 錫也がしすぎなだけ。」

「あっはは、だってさ好きなんだから言葉と行動で表さなきゃなぁ〜」

「うっ…、」

またいつもみたいに、

錫也のペース。

甘い言葉を耳元で囁いて、

私の心拍数を上げて、

甘いキスと深いキスをして。

「錫也は…いっつも余裕でずるい、」

私がそう言うと彼は

「余裕なんかじゃないよ、そう見せたいだけ。」

なんて言う。

「錫也…甘えて…、いい?」

「ん、姫様からのご要望なら何でも。」

「もうっ! まぁ、お言葉に甘えるとして…。 眠くなってきたからさ…そのさ…」

「膝枕?」

「何でっ! そんなこと言ってない!」

「だってして欲しそうな感じだったからさー」

「うっ…、そりゃしてほしい…けど。」

「じゃあいいよね。」

ニッと笑って錫也の膝に頭が乗せられる。

「ちょっ…!」

「早く、寝てもいいよ。 疲れてるんでしょ?」

「まぁ…、それなりに? でもさ寝ちゃったら錫也暇でしょ。 折角のデートだし、」

「いいよ、起きてからまた話聞かせてくれれば。 疲れがたまってる方が心配。 俺のことは気にしないで寝な。 寝顔見ておくから(笑)」

「もう! 錫也ったら!」

「はははっ、ほら寝なよ。 おやすみ。。。」

「ん、おやす…み。」


錫也が甘くキスして「良い夢を。」と言ったのは錫也だけの秘密みたい。


キミにれて窒息死

(キミは、)

(愛の犯罪者のよう)

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