付き合いの長さとか仲の良さとかは別にして、 傍にいて一番楽しいと思えた相手は今の今まで友達だった。 夜も更けたからか人の途絶えた自習室で俺の向かいに座る<first>は 本のページを捲っていた左手を止めて俺を見る。 頬杖を付いたその顔は何処か不機嫌そうで、 俺には何故<first>がそんな表情をしているのかさっぱりだった。 「ねぇ、全然気付いてないみたいだから言うけどさ」 また魔導書に熱中していて就寝時間を過ぎてしまったのかと、 一つ頭に浮かんだそれも全くの見当違いであったことを俺はついに知る。 「ユリウスのことが好きだよ。友達としてじゃなくて」 <first>がもう少し姿勢を良くして真面目な顔をして、 言い難そうに同じことを告げていたらきっともっと早くこの状況を理解できたのだろう。 ぽかんと口を開けていた俺がつまりはこれは告白なのだとわかったのは <first>の眸が鋭く俺を見つめていたからだ。 脅しのようなそれを一種の願いと悟った俺は、開いていた口を閉じた。 言えるものなど何一つとしてなかったのだ。 自分の気持ちも、何故こんなに息が詰まりそうなのかさえも。 |