厄介な君
「リア充暴発しろ」
「なぜ暴発にしたかは知らないが随分荒れているな」
「友人の惚気がウザイ耐えられない私もうあの人とやっていけないわ」
「お前は浮気した彼氏を嘆く彼女か」
「彼氏と私どっちが大事なのよ?って訊いたら間髪入れず『彼氏に決まってるじゃない(はぁと)』だよ!ああああもう女なんか信じない」
「少しは落ち着け。そしてお前も女だ」
「女同士の友情なんか成立しないのさ」
「急に悟るな。大して名言でもない上に普通は男女の友情は成立しないと言うのではないか?」
「男女の友情は成立するよ!私と柳!ほら!」
「………」
「え、何その無言。え、友情を感じていたのって私だけ?何その切ない片想い。うわぁぁん柳にまで裏切られたら私にはもうゆっきーと真田とやぎゅとまー君とブンちゃんとジャッカルと赤也しかいないのに!」
「十分に居るじゃないか」
「なんで他人事?!私何かした?この前汚した本は買い直して謝ったじゃん!それとも一昨日の呼び出しで“れんれん”って呼んだのまだ根に持ってるの?」
「いや、それについては許しているが…」
「じゃあ何で?」
「少しは足りない頭を使ってみろ」
「足りないとか言うな。えぇー、私絶対何もしてない。“れんれん”は柳にも可愛い渾名付けてあげたくなっただけだよ、ゆっきー大爆笑してたけど」
「おかげで俺は未だに部活でそう呼ばれてるがな」
「可愛いからいーじゃん。あ、そーいや一昨日と言えば白百合サンからの告白どーしたの?」
「断ったが」
「Why?」
「なんで英語の発音だけはやたら良いんだお前は」
「やぎゅのおかげ…じゃなくて!え、振ったの白百合サンを?うっわ勿体無い。私1回絡まれてるの助けたことあるんだけどそのまま“私とお茶でも如何ですか”ってナンパしたもん」
「少しは自分の性別に自覚を持て」
「美人は正義!えー、勿体無いなぁきっとお似合いだったろうに」
「美人は3日で飽きると言うだろう。それに俺が誰かと付き合ったらお前は俺の惚気も聞くハメになるぞ」
「柳が誰かと付き合ったら空気読んで柳に近寄らなくなるよ」
「なら、俺は誰とも付き合えないな」
「え…!」
「本当にお前は自分のことには疎いな。そもそも俺が好きでもない相手と毎日昼食を…「そんなに私との友情が大事なのか!」…は?」
「そっかそっか、分かってるよ柳が私との友情を大事にしてることぐらい。さっきの無言はわざわざ言うまでも無いって意味だったのか察しが悪くてごめんよ」
「…………………………ハァ」
「なにその全力の溜め息。溜め息なのに全力」
「いや、我ながらなんでこんな奴が良いのかと思ってな」
「?」
「………れんれんも大変じゃのぅ」
「本当にあの2人は見てて面白いぜぃ」
「れんれんもあの子の何に惚れたんだろうね?まぁ俺らは楽しいから良いけどさ」
「恋というのは落ちるものですからね」
「まったく、覗き見など…」
「そう言うなら止めろよな」
「誰も止める気ないッスよね」
「ほぅ、全員が共犯者か」
『?!』
「? 悲鳴が聞こえた気がする」
いっか、と彼女は教室に戻った。