上から花火を見下ろしたり
「銀さん火、ちょーだい」
「小春!俺のやるで!」
「ユウ君邪魔☆」
「先輩達キモいッスわ」
「千歳!これ火ぃつけてや!」
「金ちゃん、置き花火手持ちは危ないとよ」
「………おーいそこの四天宝寺。今すぐ独占中の花火をみんなに分け与えなさい。
さもないと明日のドリンク四天だけ乾汁になりますよー」
「腕によりをかけてやろう」
きらりと光った眼鏡に、ようやく花火が回ってきた。
「これが浪速のスピードスターの実力や!」
「お疲れ〜」
「第2陣はもうちょいしたら来るで」
バーベキューで大石の意外な一面を見たあと、みんなでもらって来た花火をすることになった…のだが。
「四天宝寺の奴ら使い過ぎだろぃ」
「子供だから仕方ないだろう」
「………1つか2つぐらいしか変わらないけどね」
見た目的に真田が言うと仕方ないと思えてしまうのだが。
まぁ実際に四天連中が圧倒的に使っているので買い出しには浪速のスピードスターと聖書を向かわせて、景吾のブラックだかゴールドだか知らないが中学生が持つには相応しくない財力のお陰で相当買い込んだらしい。第2陣とは後輩達だ。
「バケツが足りなくならない?」
「あ、それなら大石が用意してたよーん」
嬉々として花火をするあたり、普段はそう見えないがやはり中学生である。
「適当に取ってきたぞ」
「蓮二ありがとー」
いくつかの手持ち花火をもらって、蝋燭で火を付ける。
「名前!俺にも火くれぃ!」
「蝋燭使いなよ」
「混んでるから嫌なんだ」
「精市まで…」
シューッパチパチパチ。
花火の匂いと煙があたりを包んで、色鮮やかな光が散る。
「やぎゅ、やぎゅ」
「何です…かっ?!」
パチパチパチ…ッ!と、雅治の投げたネズミ花火が柳生の足元で跳ねる。
「仁王、危ないから止めておけ」
「そうですよ、火傷させる気ですか?」
「ブンちゃんもジャッカルに投げてるナリ」
「あっぶねぇな!!」
「おー、楽しいなコレ!後で赤也にもやってやろ」
「父さーん、息子達が火遊びしてるよー」
「真田君なら手塚君と線香花火持久戦に興じていますよ」
「………私、偶にあの2人が分からない」
「俺のデータを持ってしてもそうだから安心しろ」
「はい名前、これバケツに入れて来て」
「何気に一番消費してるよね?」
4本の使用済み花火を渡され、それでもまだ花火を持っている精市に溜め息をつく。
ついでだからと蓮二と柳生のも貰ってバケツに突っ込んだ頃に、パシらされていた後輩達が戻って来た。
「あー、ズルいッスよ先にやってるなんて!」
「赤也お疲れー」
花火セットを手にした赤也を労えば、青学陣も到着。
「…いくらなんでも買い過ぎじゃないの?」
「跡部のカードだからな、盛大に使ってみたくなったんだろ」
「フシュー、いつまで保つかは分からねぇけどな」
人数的にハイスピードで消費されていくから時間的にはあまり長く楽しめないだろう。
「あーん、もっと盛大なのはねぇのか?」
「市販でこれ以上の物はないだろ」
「これを楽しむのが風情っちゅうモンやで」
「でも跡部が手持ち花火とか、絵的にシュールだC〜!」
「言うなよジロー」
「でも、みんな楽しんでるみたいだし良いじゃないですか」
「…ウス」
でも、と。
「花火と言うより火遊びになってますけどね」
置き花火を手持ちする他校とは言え先輩に、若は呆れた。