甘ったるいキス
「白石…?」
するりと伸ばされた指が、私の喉を撫でる。
いきなりのことに戸惑っていると、彼は目を細めながら言う。
「………アカンわ」
「?」
普段の彼とは違う雰囲気に嫌な感じがする。喉に触れる手を軽く払って言う。
「白石…、どうしたの?」
こんな彼を見たことがない。3年間同じクラスでそれなりに仲良しだと思っていたけれど、こんな白石、私は知らない。
「!」
一気に抱き寄せられて、耳元で囁かれる。
「孕ませたい」
「は…?」
はらませる?はらむ?…孕む?
何を言っているんだなんて思っていたら、太ももに手を這わされてとっさに白石を突き飛ばした。
「…っ!」
が、直ぐに腕を痛いぐらいの力で掴まれたと思ったら壁に叩きつけられて息が詰まる。
「あんま痛くしたないから、大人しくしとき?」
「や…っ!」
脳内で警鐘がガンガン鳴る。ヤバい、早く逃げないと、自分の身が危ない。
「せやから、逃げんなって」
「!」
頭を固定され深く深く舌が絡み合う。キスと言うよりまるで口内の酸素を奪うみたいなそんな行為。
息が保たなくて白石の背を叩くが、苦しい苦しい苦しい。涙で視界がぼやけた時、ようやく口を離されて求めていた酸素を得る。
「やだ、白石…っ!」
きつく抱く腕からなんとか逃れようともがくが、体格と男女差的に無理だ。
「あんま暴れると、痛くするで?俺は孕ませたいだけなんやから」
「やだ、やだっ!止め…っ?!」
無理矢理押し倒されて、白石の体重がかかる。
両腕を頭上で1つにまとめられたかと思えば、彼はポケットから包帯を取り出して私を縛る。
「ええ格好やな…、絶頂やで?」
「…っ、」
ぎりぎりと痛いぐらいに縛られて、抵抗の手段を失う。
涙を浮かべた目で睨みつければ彼は嬉しそうに言った。
「いつまで続くか見物やな…、頼むから簡単に堕ちへんでな?」
甘ったるいキスをされた。