更純情1/2



「好きです、付き合って下さい!」


「ごめん無理」


彼にしたら、精一杯の告白だったであろうにあっさりどころかバッサリと彼女は切り捨てる。


「…今月だけで8人目」


「本当に趣味悪いよねぇ、不良少年?」


玉砕した男子が去った後によく知った声が聞こえてきた。


「ホント無駄にモテはるんスね。ま、顔だけは良いとは思いますけど」


「その言葉、そっくりそのまま君にテニスラケットで打ち返してあげる。…あ、でも私は君と違って貞操概念ぐらいあるから」


一緒にされたくないと、強い瞳が訴える。


「先輩はただの処女ですやん。野郎が怖いなら俺が優しくしてあげますよ」


「やだなぁ、潔癖症の私が他人と交わるなんて一生無理に決まってるじゃん?」



2人が初めて会ったのはある日の放課後。あまり使われない準備室。夕日の差す窓辺で四天宝寺の女喰らいが、まさに食事中のこと。

それ以来、友人にしては踏み込み過ぎで恋人にしては遠過ぎる関係になっていた。



「そんなこと考える暇もないぐらい、乱れさせてやりますわ」


「もしそうだとしても、君のは厭。病気とか困るし」


「…犯したろか?」


「こっわーい」


くすくすと、彼女は笑う。
実際には彼女を犯すなんて不可能だと、彼は分かっている。


「不能になっちゃうよ、不良少年」


「3人、でしたっけ?病院送りにした人数」


「君に怪我させたらファンが泣いちゃうかも」


実際彼は彼女を奪おうと考えたことがある。けれど、様々な武術の有段者である彼女は力だけじゃ適わないぐらいに強くて。


「ねぇ不良少年」


「財前ッスよ、名字先輩」


彼女は決して彼の名前を呼ばない。


「恋ってどんな気分?」


「それを俺に聞きますか?」





今更貴女に焦がれてるなんて、口が裂けても言えないのに。









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