君という人は。
「なるほどー」
4時限目前の休み時間。
名前は隣の雅治と、近くの席を借りているブン太と談笑中。
「あの真田と戦って引き分けだったんだろ?俺達の中じゃ伝説と化してるぜい!」
「珍しく楽しそうじゃったしな」
ちなみに内容はなんで彼らが自分のことを知っているかと尋ねたら、真田が原因だったらしい。
−−−真田弦一郎と言えば男子テニス部の副部長だが、彼は居合いや剣道も得意とする。
普段はテニス部で忙しい彼は偶に剣道部に顔を出すのだがその際に居合わせた名前は試合をすることになり…その結果は引き分けだった。
「確かに楽しかったな。次があれば決着つけたいけど」
「真田も同じようなことを言っておったの」
「でもよー、それって名前が相当強いってことだろ?
なんで剣道部に入らねーんだよ?」
「いやそれを言うなら真田もでしょ。テニス部の副部長だって聞いて吃驚したんだから」
なんて話をしていた時。
「あ、あの…名字さん」
「ん?」
クラスの女子2人がおずおずと声をかけてきた。
「今日のお昼、一緒に食べたいんだけど…どうかな?」
「おぉ4組目」
ぼそっと雅治が言った通り彼女達で4組目のお誘いだ。
「他の子も一緒だけど、それでも良いかな?」
「め、迷惑じゃないなら…!」
顔を赤らめるクラスメートに、名前はにっこりと微笑みかけた。
「迷惑なワケないよ、みんなで食べた方が美味しいし」
「…っ!」
「あ、ありがとう!また昼休みに!」
パタパタと駆けながら歓喜の声をあげる彼女達の背を見ながら、雅治とブン太は呟いた。
「………すっげ」
「流石じゃのう」
「なんなら2人も来る?」
にこ、とした笑みは中性的でありながら爽やかで成程女子に騒がれるワケだ。
「折角のお誘いじゃが俺らは部員で集まって食べるんじゃよ」
確かに。野球部やサッカー部などはそうしてることは多い。
「あ!なんなら名前が俺らと一緒に食べないか?
お前なら真田も許可するだろーし」
「いや、でも私他の人わかんないし」
他の女子なら間違いなく断らないであろうお誘いだったが、生憎名前はそこら辺が疎い。
ちなみに後に友人である友人にその話をしたら真顔で「ふざけてるのかお前?」と言われて少し怖い思いをする羽目になるのだがそれはともかく。
それに、と。
「女の子の予約がいっぱいで」
ホストかお前は。