後輩をイジメたり
「此処で良いですか?」
「大丈夫ー」
「これも?」
「うん、おっけー」
練習が一息ついて、大量の洗濯物を運ぶのに困っていたらチョタと若が手伝ってくれた。
「よし、2人共ありがとー」
業務用的な大きな洗濯機を回してからそう言った。
「名前さんにはお世話になりますからね」
「それにこれだけの人数ですから、手伝うのは当たり前です!」
「そう言ってくれと助かるよ」
うん、可愛い。
良い後輩に恵まれてるな氷帝。いや、赤也も可愛いけどなんて親馬鹿的思考を巡らせていると、ヒョイと小さな姿。
「先輩方、集合みたいッスよ」
「ん、了解。わざわざご苦労さま」
リョーマがわざわざ呼びに来た…と言うか手塚あたりに言われたのだろうが。
「………言ってくれれば、俺も手伝ったのに」
ポツリと言われた言葉に苦笑する。
「リョーマ最後まで試合してたじゃん。大丈夫、周助からこき使って良いってお許しが出たからそのうちパシるよ」
「なんか、嫌な言い方…」
本当に嫌な感じで返されて、丁度良い位置にある頭を軽く叩いた。
ぎゅう。
「………雅治?」
「………」
取り敢えず立海の元へ集合したら、いきなり背中から雅治に抱きつかれた。
「まーさーはーるー?おーい、まー君どした?」
何度呼んでも反応は無く、ぎゅうぎゅうと抱きつかれたまま。
「仁王君は貴女が構ってくれないと拗ねているんですよ」
その様子を見て、柳生は溜め息をついた。
「試合中もご機嫌斜めでしたから」
「黙りんしゃい柳生」
拗ねたような口調でやっと口を開いた。
「よしよし、寂しかったんだね」
「……………その扱いは犬猫と同じぜよ」
頭を撫でてやれば、不機嫌に言われた。
それでも嫌がっているわけではないらしくそのまま大人しくしている。
「あ!仁王先輩ズルい!」
「俺達だって寂しかったぜぃ!」
それを見た弟達(赤也とブン太)がわらわらと集まってくる。
「重度シスコンな弟を持つと大変だな、名前」
「お前ら、名字も疲れているんだ。気遣ってやれ」
そしてやはりそんな様子を保護者は呆れた様子で見ていて。
「あれ、精市は?」
そう言えば、我らが部長が見当たらない。
「あぁ何か明日の打ち合わせらしいぜ」
「ふーん」
ジャッカルの答えに頷きながら、群がる弟達を撫でていると。
「楽しそうだね。俺も混ぜてよ」
「「「!!」」」
ブン太と赤也は音を立てて固まった。
雅治だけは相変わらずだが、内心ドキッとぐらいしたであろう。
「あー、俺も疲れて更に部長の仕事までしてきたのになー。薄情な弟達だなー」
「兄貴が薄情じゃからのぅ」
そんなやり取りをさて置いて、真田は尋ねる。
「それより、何の話だったんだ?」
「あー、明日の打ち合わせとか部屋割りとか。夕飯は出るってさ」
俺は名前の手作りが良かったなんて呟く彼は私を過労死させたいに違いない。
「俺は名前と同室が良いナリ」
「いやそれは無理だろぃ」
「そうだよ、俺が同室になるんだから」
「………赤也、一緒に寝よっか」
「へ?は、えぇ…っ?!」
赤面した彼の額を、雅治の指が弾いた。